カトリック札幌司教区長の勝谷太治司教は25日、新型コロナウイルスの感染拡大に対する対策として、2月27日から3月14日までの期間、教区内では公開のミサ、集会、祭儀などを中止すると発表した。勝谷司教は「ミサの中止決定は、教区始まって以来のことであり、私たち信仰者にとって苦渋の選択」だとするとともに、事態の深刻さの認識と、対応への理解を求めている。
特に期間中の日曜日である3月1日と8日については、信徒として守るべきミサにあずかる義務を免除するとし、代わりに、各自がその日の聖書朗読箇所を読み、祈りをささげるよう勧めている。また、北海道では人数の多さによらず感染が広がっているとする専門家の意見を踏まえ、小規模なミサであっても、外部からの突然の参加が見込まれる場合は、人数にかかわらず中止するよう呼び掛けている。
司祭に対しても、感染した場合、最大の感染拡大者となる可能性があるとして注意を喚起。特に聖体拝領時などの飛沫(ひまつ)感染、接触感染の予防に細心の注意を払うよう求めた。
結婚式や葬儀については、十分な感染対策を取った上で実施可能。また、部外者の参加がない小規模な修道院、外部との接触がない観想会などの修道院での聖務日課やミサ、集会、祭儀などは、今回の決定には影響されない。
勝谷司教は、教区の司祭や修道者、信徒らに宛てた文章で、今後1、2週間の対策が感染者増加抑制のために重要とする政府の専門家会議の判断を踏まえ、北海道内の専門家の意見も聞いた上で、今回の対応を決めたと説明。「この危機を乗り越えるための皆さんの理解と協力をお願い致します。そして感染した方々の回復と感染の終息のため、私たちの母である聖母マリアの取り次ぎのもと、父である神に祈りましょう」と呼び掛けている。
各都道府県の発表などを基にした北海道新聞の集計によると、北海道では25日までに新型コロナウイルスの感染者が35人に上り全国最多となった。次に多いのは32人の東京都で、カトリック東京大司教区も25日、2月27日から3月14日までの期間、公開のミサを中止すると発表している。