11月23日から26日まで日本を訪れたローマ教皇フランシスコは25日、滞在先の東京で、自身が主宰する「スコラス・オコレンス財団」で教育研修を受けた青年らと面会した。教皇は、青年らに励ましの言葉をかけるとともに、アジアで初めて開設された同財団の日本拠点の発足を祝福した。
25日は、同財団が東京で初めて行った教育研修に参加した青年の代表5人が教皇と面会した。この研修には、異なった信仰を持つ東京、大阪、千葉、埼玉、群馬などに在住する14~18歳の青年が参加した。
5人を代表してあいさつを述べた田中誠二さん(18)は、教皇の来日を歓迎し、次のように語った。
「私たちはいったい何のために勉強しているのかと自問するとき、これはより正しく平和的な世界を創るために違いないと思います。平和な世界創造こそが与えられた使命であると感じます。今回のスコラスの研修を通じて、私たちは人々の心の中には数字や論理では表せないものがあるということを確信しました」
これに対し、教皇は次のように応じ、祝福と励ましの言葉を贈った。
「皆さんの体験を聞いてとてもうれしく思います。なぜなら、今まで既に行われてきたことをただ繰り返すことなく、また、頭で理解するだけでなく、創造的であろうとしているからです。皆さんはまさに何かを創造しようとしているのです。なぜなら、真の知恵とはただ頭をアイデアでいっぱいにすることだけではなく、自分自身を3つの言語で表現することだからです。すなわち、知性の言語―考えること、心の言語―感じること、そして手の言語―行うこと、です。あなた方の決意と勇気とに感謝します。自らの殻に閉じこもることは、外に出て感じてそして行動することよりも居心地の良いことでしょう。しかし、皆さんは反対にその殻を脱ぎ捨て、リスクをあえて取ろうとしています。それはとても素晴らしいことです」
スコラス・オコレンス財団は、教皇フランシスコが教皇に就任する前のブエノスアイレス大司教時代に「隣人たちの学校(School of Neighbors)」として始めた教育運動。宗教、人種、文化を問わず、すべての青少年を対象に、技術、スポーツ、芸術教育を通じ、多くの出会いの機会を与えることにより、相互のつながりを深めることを目的としている。
仙台市にある日本の拠点を含め、アルゼンチン、バチカン、コロンビア、スペイン、ハイチ、イタリア、メキシコ、モザンビーク、パナマ、パラグアイ、ポルトガル、ルーマニアの13カ国に拠点を持ち、来年以降、さらに多くの国に拠点を広げる計画だという。
今年9月中旬には、同財団のホセ・マリア・デル・コラル理事長が、日本拠点設立準備のため初めて来日した。コラル理事長は、宮城県の遠藤信哉副知事、仙台市の高橋新悦(しんいち)副市長を表敬訪問。温かい歓迎を受けるとともに、同財団が仙台市で開催を予定している東日本大震災からの学びを目的とした大規模な国際会議に対し、多くの期待を寄せられた。また、コラル理事長は関西外語大学(大阪府枚方市)も訪れ、同財団の芸術プログラムを推進するため、今後のパートナーシップについて合意するなどした。