日本の政府は20日、ローマ教皇フランシスコの来日に合わせ、これまで「ローマ法王」としていた呼称を「ローマ教皇」に変更すると発表した。教皇の呼称をめぐってはこれまで、政府やメディアは「法王」を使用することが多かったが、日本のカトリック教会では、38年前に先々代のヨハネ・パウロ2世が来日して以来、「教皇」に統一していた。複数の国内メディアが同日、伝えた。
時事通信によると、外務省は、「教皇」という呼称がカトリック関係者をはじめ一般で普及していること、また呼称変更についてバチカン(教皇庁)側に問い合わせても、問題ないと確認できたためと説明している。一方、毎日新聞によると、政府としては呼称を「教皇」に変更するが、外務省幹部は「『法王』を使用しても間違いではない」とも話している。
カトリック中央協議会のホームページによると、日本のカトリック教会内でもかつては、「教皇」と「法王」の呼称が混用されていた。しかし1981年に、当時の教皇ヨハネ・パウロ2世が来日した際、呼称を「教皇」に統一することを決めた。「教える」という字の方が、教皇の職務をよく表現していると判断したためだ。
日本政府はこれまで、東京の「ローマ法王庁大使館」(駐日バチカン大使館)の名称に合わせて「法王」の呼称を使用してきた。ローマ法王庁大使館がこの名称となったのは、日本とバチカンの国交が樹立した1942年当時、定訳が「法王」であったため、バチカン側がこの名称で日本政府に申請したからだった。
教皇は、ラテン語「Papa」(英語では「Pope」)の日本語訳。公式な称号ではないが、広く一般に使われており、教皇自身が署名の際にも用いる。日本のカトリック信徒の間では、親しみを込めて「パパ様」と呼ぶこともある。