全盲の福音歌手・ピアニストとして活躍している北田康広さんが、16日に新アルバム「聖夜 歌とピアノで綴(つづ)るクリスマス」をリリースする。収録されている全23曲は、すべてクリスマスにちなんだ曲。オーケストラ伴奏で歌う讃美歌と、ピアノコンチェルト風にアレンジされたピアノ曲が交互に収録されている。
北田さんは5歳の時、未熟児網膜症と医療ミスが重なり失明。盲学校時代には厳しく管理された寮で12年間生活し、両親の離婚や継母のいじめなど、多くの苦しみを経験した。しかし、高校1年の時にクリスチャンの教師と出会ったことで神の愛を知り、人生が変わる。武蔵野音楽大学と東京バプテスト神学校で学び、現在は福音歌手・ピアニストとして全国でコンサートを行っている。「聖夜」は、昨年5月にリリースした「アメイジング・グレイス」に続く7枚目のアルバムとなる。
収録されている讃美歌は、「もろびとこぞりて」や「ああベツレヘムよ」「神の御子は」「きよしこの夜」「牧人羊を」など、世界で親しまれている定番のクリスマスキャロル。いのちのことば社理事長で福音讃美歌協会元代表理事の安藤能成氏は、「ほとんどの人たちが一度は聴いたことのあるなじみ深い曲目ばかりです。また、歌とピアノ演奏が交互に収録されていますので、とても聴きやすい構成になっています」と評している。
ピアノ曲は、ヘンデルの「ヘンデルのラルゴ」や、シューベルトの「シューベルトのアヴェマリア」、フィンランドの代表的作曲家シベリウスによる「樅(もみ)の木」「村の教会」などを収録。またバッハ作曲のものは、「シチリアーノ」「主よ、人の望みの喜びよ」「G線上のアリア」「来たれ、異邦人の救い主よ」「イエスよ、私は主の名を呼ぶ」の5曲を収録している。安藤氏は「特にシベリウスの作品は、北田さんの豊かなピアノの音色が美しく、ほっとさせてくれるもので、殺伐とした人の世に神様の平和を持って来てくださった主イエスの存在を思わせてくれました」と感想を述べている。
収録曲はすべて、作曲・編曲家の井上詩織さんによるアレンジが加えられている。讃美歌の伴奏はオーケストラアレンジとなり、クリスマスを祝う喜びに満ちた壮大な賛美が繰り広げられる。一方、ピアノ曲はすべてピアノコンチェルト風にアレンジされており、おなじみの名曲が装い新たに新鮮な響きを奏でる。またアルバムのジャケットは、マリアに抱かれた幼子イエスをヨセフが見つめる姿が、星座の星々で描かれており、クリスマス色あふれるデザインとなっている。
日本盲人キリスト教伝道協議会副議長で日本基督教団新泉教会牧師の阿佐光也氏は、「讃美歌の選曲と配列は私にとっては申し分なく、神の御子イエス様の誕生を物語り、その聖誕劇をつなぐように、選び抜かれた名曲のピアノ演奏が心地よく心に響いてきます」と絶賛。「このCDは、ピアノも歌唱もそして信仰も一級品の北田さんだからこそ生み出された私たちへのクリスマスプレゼント」と述べている。
収録時間74分。定価3千円(税込)。16日(土)から、全国のキリスト教書店のほか、いのちのことば社ライフ・クリエイションのホームページや北田さんの公式サイト、アマゾンなどのネットショップで発売される。