大和田伸也や奥田瑛二、井上芳雄ら有名俳優が多数出演し、聖書の世界を忠実に再現したドラマ仕立てのスマートフォンアプリ「聴くドラマ聖書」が、9月にリリースされる。文化支援事業などを目的とする日本G&M文化財団(東京都新宿区)が制作を手掛け、旧新約聖書全66巻を無料で配信する。聖書には、最新の聖書学に基づいて翻訳され、2017年に出版された「新改訳2017」を採用。使いやすさも、マーカー機能はもちろん、横書きと縦書きの切り替えや朗読箇所の自動ナビゲートなど、細部にまでこだわった。
圧巻なのは、総勢150人に及ぶ豪華キャストの顔ぶれだ。神役の大和田伸也やイエス役の井上芳雄をはじめ、奥田瑛二(イザヤ役)、加藤雅也(モーセ役)、南沢奈央(マリア役)、藤田朋子(ルツ役)、つるの剛士(マタイ役)、川﨑麻世(ヨハネ役)など、誰もが知るバラエティー豊かな俳優たちの夢の共演が実現した。制作担当者によると、聖書に初めて触れる役者が多かったものの、事前準備の段階から監修者が収録に関わり、聖書に忠実な役作りにそれぞれが励んだという。
さらに大きな特徴は、聖書の権威を重んじる聖書翻訳者たちの強い要望により、聖書の記述を一字一句変えず忠実にドラマ化したことだ。東京基督教大学の伊藤明生教授とランドル・ショート教授が、新約と旧約の制作委員をそれぞれ担当している。
BGMや効果音にもこだわった。米ニューヨークにある財団本部と韓国ソウルにある姉妹団体がすでに、完成度の高い同様の聖書アプリをそれぞれの言語でリリースしている。韓国語版で使用されたオーケストラによるオリジナル演奏を活用しながら、臨場感をより高めるために全体を再構成した。効果音では、旧約時代にイスラエルの民が使用したタンバリンの形状による音の出方や、同じ角笛でも使用される場面によって異なる長さの音にするなど、細部に至るまで時代考証を重ねた。
使いやすさも追求されている。好みに合わせて縦書きと横書きが選べるほか、朗読中の箇所が自動でハイライト表示されるため、文字を目で追いながらじっくりと音声を聞くことができる。また、音声も含めてデータはすべてダウンロードできるため、ネット環境にとらわれず、いつでも鑑賞できる。
長さは旧新約聖書全体で約150時間。日本人の平均通勤時間(約79分)で計算すると、毎日通勤中に聞けば、約100日で聖書全体を通読することが可能だという。
日本語のアプリは、英語、韓国語に続く3言語目で、現在はスペイン語と中国語でも制作が進められている。特に韓国語のアプリは、人気韓流ドラマに出演する俳優を中心に100人を起用したこともあり、ダウンロード数はすでに50万を超える。
駐ニューヨーク韓国総領事などを務めた韓国の元外交官で、牧師でもあった同財団の文俸柱(ムン・ボンジュ)代表理事は、次のように語った。
「聖書には高い文化的価値があり、世界のベストセラーとして多くの人々が関心を寄せる一方で、実際に手に取ってみると、一人で読むにはハードルが高いと感じる方も多いと思う。このドラマ聖書は、従来のオーディオブックのような朗読とはまったく違う迫力あるドラマ仕立てが魅力で、臨場感あふれる作品に仕上がっている。一人でも多くの方にアプリを楽しんでいただき、聖書をより身近に感じてもらえれば」
同財団は今後、ティモシー・ケラーやC・S・ルイスなどの名著をはじめ、歴史・文化・経営・人間関係など、多彩なジャンルの書籍をオーディオブック化していく計画だという。