「教会改革口実にキリスト教界を扇動」疑惑集中報道(2)
クリスチャン新聞編集顧問の根田祥一氏が編集長だった2004年、本紙に関する虚偽の情報を日本福音同盟(JEA)に提供した際、主な情報元となった韓国のキリスト教メディア「ニュースNジョイ」。その過激な論調だけでなく、鮮明な親北傾向が韓国のキリスト教界内でたびたび問題視されてきたが、このほど、さまざまな関係資料により、北朝鮮の朝鮮労働党の指導理念である「主体思想」を支持する韓国の政治運動「主体思想派」と密接に関係していることが浮き彫りになった。さらに、ニュースNジョイの指導者が自身の政治的アイデンティーを告白した際の衝撃的な内容が明らかになった。韓国クリスチャントゥデイによる集中報道第2回(6日付)を紹介する。(前回の記事はこちら)
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本紙は5日付の記事で、「教会改革」の旗印を掲げてきた媒体「ニュースNジョイ(News N Joy)」が、実際は主体思想に追従する組織「美しの村」という名の共同体によって、キリスト教への妨害と破壊を目的として韓国キリスト教界に植えられた「細胞組織」との実態を告発した。
しかしニュースNジョイは、このような記事の内容についてまったく反論を提示できずにいる。グ・グォンヒョ現編集局長は、ニュースNジョイが現在の「美しの村」と何の関係もないかのようなとんでもない的外れな回答をして焦点を曇らせ、煙に巻こうとしたが、ニュースNジョイの関連機関「キリスト教青年アカデミー」には、相変わらずこの「美しの村」の関係者らが主な人事に参与しており、この団体が8日に開催するイベントには、「美しの村」代表のチェ・チョルホ牧師がパネリストとして参加し、ニュースNジョイ出身者の大多数が製作に携わる「美しの村」の新聞の情報をキリスト教青年アカデミーで告知するなど、彼らはいまだに密着した歩みを見せている。
また、ニュースNジョイと「美しの村」から見えてきた主体思想派の傾向は、その程度で適当にごまかせるレベルではない。さらに、ニュースNジョイと「美しの村」はこれまで一度も、自分たちが見せてきた主体思想派性向について認めたり、反省してこれを非難したりする立場を公式に発表したことがない。
まず、ニュースNジョイのヤン・ジョン・ジゴン前編集局長が自らNL(民族解放民主主義革命派)というアイデンティティーを率直に表した文章を見てみよう。この文章を通して、本紙が以前の記事で述べた通り、ニュースNジョイ前編集局長が主体思想派の一員であり、内乱扇動などの容疑で解散した統合進歩党の前身である民主労働党所属であったという情報提供が事実と確認された。本紙は、ニュースNジョイに関連してこれまで入手した資料を検討する過程でこの事実を発見した。
ニュースNジョイのヤン・ジョン・ジゴン前編集局長は、2012年に自身のSNSに掲載した「昔の恋人への手紙」という題の記事で「2000年。私の愛は、民主労働党という名前で世に出てきた。その際、党員になった」と明らかにした。彼はまた、自身が数年後に、民主労働党への愛情を断って離党までしたと告白しながらも、その後進である統合進歩党について「現実の政党の中の派閥よりもはるかに健康である」「既存の政党に比べてはるかに民主的である」と肯定的な評価を示した。
統合進歩党は、1997年に国民勝利21という名称で始まり、以後民主労働党時代を経た後、三者合同を通して2012年から統合進歩党という名称で活動してきて、2014年に最終解散となった。国民勝利21の時点から解散当時まで主体思想派NL系列が主導的に参加し、従北論争が絶えなかった。ヤン・ジョン・ジゴン前編集局長は、2000年初めと中盤にニュースNジョイ記者として活動しており、後にニュースNジョイを辞め、その関連機関「大いなる光の世界(ハンビッノリ)」の事務局長を務めたりもした。2016年の初めにニュースNジョイ編集局長に復帰したが、2017年の初め、再び辞めたように見える。
ヤン・ジョン・ジゴン前編集局長は、民主労働党への愛情が冷めるようになった決定的な理由を書いた文で「脱北者の人権」問題についての見解の違いを指摘しつつも、その最も根本的な原因である北朝鮮の政権と体制の問題点については一切口を閉ざした。ヤン・ジョン氏はまた、SNSを介して「私は自分がNLだと思っていたのに民主労働党の中ではPD(民衆民主革命派)みたいだった」と述べた。
ヤン・ジョン氏は2015年のSNS投稿で、白頭山を「革命の聖山」と呼ぶこともした。この表現は、白頭山を金日成のいわゆる革命の歴史が始まった山と見ており、金氏一家を「白頭血統」と呼んだことによる。
金日成崇拝が疑似宗教化した主体思想が、北朝鮮のすべての領域と分野で絶対的超法規的な権威を持ったことは周知の事実である。どんな人も、理念も、組織、権威もが主体思想に逆らっては、北朝鮮社会の中で存在できない。キリスト教の信仰も同様で、北朝鮮はオープン・ドアーズが選ぶ世界最悪のクリスチャン迫害国として2002年から2018年まで悪名を連ねている。
ところで、このような北朝鮮の反教会的な、金日成の主体思想と独裁体制を信奉する主体思想派でありながら、同時に自らをクリスチャンだと主張する勢力の信仰アイデンティティーは何であり、彼らが「教会改革」を叫ぶとすれば、その理由と実体は何なのか?これに対してあるキリスト教界関係者は、北朝鮮が大韓民国赤化の最大の障害を韓国教会であると見ており、これを打破することに重点を置いていると指摘した。実際多くの教会が、ニュースNジョイのためにむしろ教会の対立が酷くなり、宣教にとって障害になっていると訴えている。
特にソウルA教会B牧師は、自身の教会にある副牧師がいたが、この副牧師がいつからか「美しの村」共同体に入ってしまい、教会の青年たちをキリスト青年アカデミーに連れていくようになり、以後、その青年が教会内で多くの混乱を起こし、200人余りに上った青年部がほぼ瓦解(がかい)されるまでに至ったと主張した。あいにくニュースNジョイ現職のグ・グォンヒョ編集局長(前「福音と状況」記者)は当時、その教会の青年部リーダーだったという。
キリスト教青年アカデミーは、ニュースNジョイが設立した教育機関で、「美しの村」代表のチェ・チョルホ牧師が運営委員長、教育委員長を務めた。「美しの村」所属のアカデミー講師は6・25戦争を「統一戦争」と説明するなど、非常に過激で偏向的な思想を表した。
ニュースNジョイのグ・グォンヒョ編集局長は2015年、自ら現在教会に通っていないと誇らしげに発言した。彼は当時ニュースNジョイのフェイスブックに掲載したコメントで「内輪同士だから話すのですが。私、実は幽霊会員(カナアン信徒、가나안성도)です」と述べた。ここで、カナアンは「アンカダ(안 나가、直訳すると『行かない』)」を逆に書いたもので、クリスチャンを自任するが教会に行かない人を呼ぶ用語だ。教会も通わない人が、キリスト教の記者を自任し、教会を改革するというのは理屈が通らない。
あるキリスト教界関係者は、このようなニュースNジョイの歩みについて「神と金日成の両方に仕えることはできない」とし「言論の自由という美名の下、主体思想派の世界観を持って教会を翻弄してはいけない。ニュースNジョイが教会の改革を叫ぶには、まず、これまで見せてきた主体思想派性向について公に徹底的断絶をし悔い改めなければならない」と述べた。