「教会改革口実にキリスト教界を扇動」疑惑を集中報道
クリスチャン新聞編集顧問の根田祥一氏が編集長だった2004年、本紙に関する虚偽の情報を日本福音同盟(JEA)に提供した際、主な情報元となった韓国のキリスト教メディア「ニュースNジョイ」。その過激な論調だけでなく、鮮明な親北傾向が韓国のキリスト教界内でたびたび問題視されてきたが、このほど、さまざまな関係資料により、北朝鮮の朝鮮労働党の指導理念である「主体思想」を支持する韓国の政治運動「主体思想派」と密接に関係していることが浮き彫りになった。その実態を報じた韓国クリスチャントゥデイの記事(5日付)を紹介する。
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数年前に北朝鮮を称賛鼓舞するキリスト教団体があるという主張が提起され、キリスト教界に大きな波紋を起こした。アン・ビョンマン牧師(列邦教会、前大韓イエス教長老会高神教団SFC指導委員長)が「青春(原題:一つしかない祖国のために)」という北朝鮮労働党の青年赤衛隊が歌う歌を何事もなかったかのごとく制止せず、クリスチャン青年らが歌っている共同体がある」という主張をしたのだ。当時、彼はその団体の実名を挙げなかったため、これについてのさまざまな推測がなされたが、最近本紙が入手した資料を通してその正体が明らかになり、特にこの団体がニュースNジョイというキリスト教メディアと深く関連しているという事実も明らかになった。
十数年前、「教会改革」を旗印に発足した媒体「ニュースNジョイ(News N Joy)」についてはこれまで、過激な論調だけでなく、鮮明な親北と従北傾向が延々と物議を醸してきた。ところが、この媒体は単にこのような傾向を有することを超え、主体思想派の民族解放(NL)戦線の勢力が、キリスト教への妨害と破壊を目的としてキリスト教界に植えた「細胞組織」との実態が関係資料から無数確認され、衝撃を与えている。特にキリスト教界ではニュースNジョイのこのような動きは、主体思想派が教会の改革を託されたとしてキリスト教で扇動を試みた事件であり、これに対して沈黙してはいけないという世論が高まっている。
この資料によると、ニュースNジョイ元・現職記者の多くは、「美しの村」という名称の共同体の出身者で、この共同体はどの従北左派組織よりも大胆でありながら露骨に主体思想と北朝鮮の体制について称賛し鼓舞する活動を続けている。
(以下、上の写真にある文の日本語訳)
青春
1. 人生が行く道 遠い道のりに青春は夢のよう
高価な時代 純潔な心臓に花を咲かせるとき
青春は一生の代わりにもなります。
*青春 青春を輝かせて生きよう 青春 青春を価値あるように生きよう
一生に再びない黄金の時代 永遠に青春は
祖国のために
2. 情熱の歌は永遠に残り 輝く青春は思い出
この「美しの村」共同体の入所式において会員らが、金日成賛歌である「青春」を歌うことが分かった。アン牧師はこの曲について「青春を母なる党である労働党と金日成父子と北朝鮮の朝鮮人民民主主義共和国のために惜しみなくささげよう」という内容だと告発した。
この「美しの村」の中心人物として知られているチェ・チョルホ氏は、2005年1月1日、妻と一緒に訪朝した際に写真を撮影したが、当該写真には「21世紀の太陽、金正日将軍万歳」という文句が鮮明に見える。この写真は、「美しの村」のインターネットカフェに「21世紀の太陽、金正日将軍万歳!! -チョルホ、〇〇」というタイトルで掲載された。チェ氏はニュースNジョイが設立した教育機関であるキリスト教青年アカデミー運営委員長と教育委員長などの要職を務めた。
「美しの村」の別のメンバーであるアン・キホン氏も2005年1月11日、いわゆる「金日成賛揚碑」の横で写真を撮影した。この賛揚碑は「偉大な首領金日成同志は1974年8月19日、ここで不屈の共産主義革命闘士金正淑女史と共に1947年9月28日、金剛山を訪れたその時を感慨深く振り返ってみて、女史の高潔な忠誠心に胸が熱くなったとおっしゃった」と書いてある。
さらに驚愕すべきことは「美しの村」では、露骨に「金正日将軍様」「金日成主席様」という表現を使用している点だ。特に「民主主義と人権の本質」というタイトルの内部文書は、金正日と金日成が言ったように見える内容を含んでいるが、そのうちの幾つかは、次の通りである。
「私たちは、社会生活のすべての分野で階級的立場と革命的原則をしっかり守り、人民の利益を侵害する敵対分子と不純分子を徹底的に鎮圧しなければなりません。特に『人権擁護』の看板の下に敢行されている帝国主義者の反共謀略策動に断固とした反撃を加えながら、社会主義的民主主義を損なおうとするどんな試みも適時に粉砕し捨てなければなりません(金日成主席様、人民政権をさらに強化させよう1977年12月15日)」
注目される部分は、前述したニュースNジョイの記者の多くが、この「美しの村」の出身という点だが、特に資料によると、彼らがニュースNジョイの記者として活動することになった背景には、自発的意志以上の「美しの村」の政策的・組織的な動きが見える。
ニュースNジョイ初代編集局長ジュ・ジェイル氏の場合、2007年9月6日、「ニュースNジョイは、私たちの共同体をはじめとする教会内部の改革勢力の前衛組織であり、扇動組織に堅実に立つように活動する」とし「今は『一時的』という札が付いたが、そう遠くない将来、私はニュースNジョイ編集責任者になる」と書いた。アン・キホン氏も2004年5月31日、「派遣と去ることの交差、ニュジョ(ニュースNジョイの略)に派遣されることとなった」と書いた。ニュースNジョイで勤務することになったことを「派遣」と自ら明らかにしたものだ。
上記の人物らに関して、金剛山統一紀行公示文には、訪問者リストが記載されているが、その中に10人余りのニュースNジョイ記者と従業員らの名前もある。この金剛山旅行公示文には、「私たちの戦闘は、結局は思想戦です。主体的な思想闘争を通して!統一の課業を成し遂げるその日まで求め続ける必要があります」と明かしている。福音による統一ではなく、主体的な思想を通じた統一という異質な主張をしているのだ。当時は、当該告知に対するいかなる反発も反対意見もなかった。
また、過去ニュースNジョイ記者だったイ・スンギュ氏もこの「美しの村」の出身で、この媒体で中枢的役割をしてきて、数年前にCBSに転職した。彼の離職も「美しの村」の「派遣」だったのか、それもやはり「美しの村」の思想的影響を受けたのか、憶測を呼んでいる。
「美しの村」から見える親北と従北傾向は、ニュースNジョイの報道においても濾過されることなく表れている。特にイ・スンギュ氏は、過去ニュースNジョイ記者在職時代、北朝鮮の核実験によって全国民が不安に陥っていた当時に電撃訪朝し、「私たちが同族に核を撃つことは決してあり得ない」というタイトルで、まるで北朝鮮当局を代弁するような記事を掲載し、大きな懸念と反発を買うことになった。
この他にもニュースNジョイは全般的にキリスト教に向けては、過酷なほど鋭い定規を突きつけ紛争と葛藤に焦点を合わせるが、北朝鮮の世襲独裁政権については、限りなく穏やかで寛容な報道態度を見せている。
ニュースNジョイは長老会神学大学校のキム・チョルホン教授に対しても継続的に批判報道をしてきたが、キム教授は「運動圏」出身だが転向した後、社会に浸透している主体思想派組織を辛辣(しんらつ)に批判し、警戒を呼び掛けている人物である。
一方、ニュースNジョイの報道で悔しい被害を受けたという教会の牧師と信徒らは、このように従北傾向を持つニュースNジョイが長い間キリスト教界に対して攻撃的記事を継続的に掲載してきたという事実に対し、大きな怒りを持っている。ニュースNジョイの指導層と運営実態について多くの情報提供が本紙に寄せられているが、その中にはヤン・ジョン・ジゴン前編集局長が主体思想派の一員であり、国家保安法違反の疑いで解散した統合進歩党の前身である民主労働党所属だったという衝撃的内容もある。ここに本紙は、その内容についてより詳細な事実確認を経て、深層報道を続ける計画だ。