「教会改革口実にキリスト教界を扇動」疑惑集中報道(5)
クリスチャン新聞編集顧問の根田祥一氏が編集長だった2004年、本紙に関する虚偽の情報を日本福音同盟(JEA)に提供した際、主な情報元となった韓国のキリスト教メディア「ニュースNジョイ」。その過激な論調だけでなく、鮮明な親北傾向が韓国のキリスト教界内でたびたび問題視されてきたが、このほど、さまざまな関係資料により、北朝鮮の朝鮮労働党の指導理念である「主体思想」を支持する韓国の政治運動「主体思想派」と密接に関係していることが浮き彫りになった。韓国クリスチャントゥデイによる集中報道第5回(11日付)を紹介する。(前回の記事はこちら)
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会社法人と非営利事業体の姿が混在
ニュースNジョイの実体は何なのか、今年読者らが本紙にずっと問い続けてきた質問の一つだ。ニュースNジョイはその間、変身に変身を重ねてきた。時には会社、時には社会団体、時には法人、時には個人事業体のようでもあり、その行方を追跡してみると迷宮に陥るしかない。
まずニュースNジョイは会社であることを標榜する。ホームページに自分たちは「会社」だと、カン・ドヒョン氏を代表取締役でもない「代表」(またはオーナー)だと紹介するが、これは、ニュースNジョイが個人事業者の形態を取っているという意味だ。一方、ニュースNジョイが収益事業のために運営する「ジョイストア」には、ニュースNジョイが「法人」として紹介されている。
しかし、登記謄本上、法人ニュースNジョイはすでに2006年に解散した。現行法上、法人は一度解散した後には、同じ名前を使用できない。つまりニュースNジョイのサイトによると、既に解散した会社をこれまで12年間、通常の会社であるかのように紹介して運営してきた形となる。
また、公開された事業者の登録番号などを総合すると、ニュースNジョイは非営利任意団体に見える。ニュースNジョイの事業者登録番号の真ん中の桁は82であり、これは非営利団体であることを意味する。もちろん、非営利団体としても収益事業を行うことはできるが、果たしてそれにふさわしく基準に合わせているのか。これまた厳密に点検すべき問題だ。
ニュースNジョイのこれまでの主張を総合してみると、彼らの形態は、株式会社ニュースNジョイ→株式会社ジエンコミュニケーション→2006年3月株式会社解散→6カ月間会社の空白→2006年10月18日、インターネット新聞「eニュージョ」と定期刊行物「ニュースNジョイ」→NGOハナヌリ(しかし目的事業に言論・出版はない)→非営利個人事業体ニュースNジョイなどで、多様に変身してきた。
税務の専門家らによると、そのような歩みの原因は、実際には非営利団体の形をとって後援と募金をやりやすくしながらも、表面上は会社として包装し、メディアとしての公共性を整えようとする試みに見えるという。
実際ニュースNジョイは莫大な寄付金を受けている。最近、ある保守の人物が国内の主体思想追従者らの勢力に対して非難しつつ、ニュースNジョイ関連機関である(財)「大いなる光の世界(ハンビッノリ)」が韓国輸出入銀行、現代海上火災保険(株)、ハンファ投資証券など国内有数の企業と団体から寄付を受け、毎年約30億ウォンの寄付金と収益を得ていたという事実を暴露した。特にこれによると、そのうちの過去4年間だけで10億ウォンを超える金額がニュースNジョイに流れていた。被支援団体の中で最も、そして圧倒的に多い金額だ。
ニュースNジョイは以前にも曖昧で不明瞭な法的実体を見せて募金活動をしてきた。10年前の2008年、本紙はこれら内部の矛盾をすでに告発し、ニュースNジョイ後援読者たちが「募金詐欺劇」と強く抗議した。これに対してニュースNジョイは、謝罪文まで掲載しなければならなかった(関連記事リンク1・2・3[いずれも韓国語])。
ニュースNジョイはその事件以前から「非営利団体」を意味するNGOであることを掲げて後援を要請してきたし、新聞社を非営利社団法人に変更すると言って、これを名目に数億ウォンを募金した事実も確認された。当時の代表であったバン・インソン牧師の「貧しい牧師が愛読者にささげる文」に触発されたこの事件で、バン代表は、本人を「かかし(訳注:名前だけの飾り)」として紹介し、「経営者が別にいた」と述べ、「創業記者」が経営まで引き受けていたことを自ら告白した。メディアが健康な声を出すためには、経営と編集が分離されなければならないのだが、ニュースNジョイはそうではなかったということだ。
ここで、後援金口座が代表名ではなく、バン牧師が「創業記者」として紹介した当時編集局長であったイ・スンギュン氏の名義にされていたという事実が知らされ、ニュースNジョイはこれを釈明する「社告」まで掲載しなければならなかった。しかし、この釈明でニュースNジョイは、本人らがNGOではなく「個人企業」であることを結局自白した。彼らはこの事件が起きる以前に「営利を目的とする会社から運動を目的とするNGOに変身」「株式会社清算」などに言及して「NGO発足式」まで開いたが、これは読者を欺いた仕打ちだったのだ。
この釈明では特に、NGOと社団法人設立のために受けた後援金で「これまでの財政赤字を埋めた」と自白した。しかし、彼らは「発足式」の記事で、「送ってくださった後援金をただ毎月発生する赤字を埋めるために使ってはならない」と述べていた。
これとともに、負債のために昔の株式会社を急いで清算しつつ、ニュースNジョイが再登録されるまで6カ月以上「会社がない状態」で新聞社を運営した。ニュースNジョイはこの期間、継続的に営業と取材活動を行っており、脱税疑惑が深刻に提起された。
さらに、当時NGOと社団法人であることを詐称していたニュースNジョイは、税控除の恩恵を与えることができない個人事業体にも「所得控除」を掲げつつ、直接的な後援の代わりに「大いなる光の世界」を通じた後援を誘導した。また「税金控除の恩恵提供」としながら、口座の1つはすでに解散した会社名義であり、「定期後援」の案内口座は「創業記者」個人名義であった。
最近、ヘッジファンド派生商品トレーダーの前歴を持つカン・ドヒョン氏がニュースNジョイの社長に就任した点は、多くの人々に疑問を抱かせることとなった。資本主義を非難する人々は、ヘッジファンド派生商品を資本主義経済体制の中に見られる最も極端な弊害の一つだと指摘するが、やはり反資本主義的な立場を示してきたニュースNジョイとカン代表の組み合わせは、何かぎこちなく見えたからだ。一方、彼が就任した後、ニュースNジョイがより会社らしい会社に生まれ変わるだろうというキリスト教界の一部の期待もあったが、現時点では、これまでの問題が適切に対処されていないものと思われる。
もう一つニュースNジョイの奇怪なアイデンティティーを最もよく示しているのがドメインである。ニュースNジョイは、インターネットを基盤とした新聞であるため、インターネット上のアドレスであるドメイン名は非常に重要だが、ニュースNジョイは通常営利団体が使う .co.kr や .com ではない非営利団体が使う .or.kr を代表ドメインに使っている。さらには .or.kr のドメイン名はすでにニュースNジョイから退社したキム・ジョンヒ元編集人が、.kr はニュースNジョイが、.co.kr はイム某氏という人物がそれぞれ所有している。
しかし、韓国インターネット振興院のドメイン名管理準則によると、.or.kr ドメインを営利目的で使用することは法律に抵触する。韓国インターネット振興院側は、このようなことが摘発された場合、まず釈明の機会を与えた後、妥当性の可否を審査し、この如何によって使用停止や事前通報なしに抹消の制裁を下すこともあると明らかにした。
ニュースNジョイはなぜ、会社であることを自認しながらも .co.kr ではなく、.or.kr ドメインを使用しているのか。これは2011年末、キル・チャヨン牧師(韓国基督教総連合会元代表会長、大韓イエス教長老会合同教団元総会長)が自身の名義をニュースNジョイに盗用されたと主張していた事件に関連している。
ニュースNジョイが2000年6月と07年2月に登録して使用してきたドメイン名 .co.kr と .kr は、キル・チャヨン牧師が発行人の「書籍の出版ワンソン」という名義になっていた。問題は、当事者であるキル・チャヨン牧師はこれについてまったく知らなかったこと。これは、ニュースNジョイ元発行人兼創設者のキム・ジョンヒ氏が過去にワンソン教会の執事であった時代、任意で登録して使ってきたからと思われる。
これにより、キル牧師はニュースNジョイの記事によって法的責任を負うかもしれない状況に追い込まれただけではなく、政府関係者から「左派」との誤解も受けてきたという。一歩遅れてこの事実を知ったキル牧師は、これ以上の被害を防ぐための先行的措置として、ドメイン所有者の権利を行使してニュースNジョイのドメインを閉鎖した。名義を盗用して使用したドメインであった上に、本来の所有者がこれを閉鎖したにもかかわらず、ニュースNジョイはこれに対する一つの謝罪もせずに、自分たちのドメインのみ .or.kr に変更し、タイトルもそのままニュースNジョイにして使用している。
本紙がこの問題を非常に深刻に注目する理由は、ニュースNジョイが韓国の多くの企業と教会から後援を受けているからである。特にニュースNジョイの運営資金のほとんどが「大いなる光の世界」を介して後援者たちに所得控除の恩恵を与えた後に得られたものだ。「大いなる光の世界」の固有目的事業紹介欄には、「50個ほどの小規模なNPO団体に公益的で宣教的な目的のために寄託された後援金30億以上の分配支援」という内容がある。
しかし、果たして「大いなる光の世界」を通して毎年数億ウォンの巨大な資金がニュースNジョイに流れることは「公益的で宣教的な目的」だと言えるのか?「大いなる光の世界」を介して後援した数多くの教会と団体は、このお金がニュースNジョイに流れ込むこと、そしてニュースNジョイの主体思想的背景と教会破壊的性向について知っていたのだろうか?おそらく純粋な目的のために後援した人々もまた、被害者ということができる。従って本紙は、これらの問題点を、これまで粘り強く追跡してきた財務の専門家チームの資料と協力を受けて深層報道していく。