離婚から8カ月後の2010年3月。息子と家を出て、近くにある2棟建ての小さなアパートに住み始めました。ここから始まった母子家庭生活は、ますます波乱の連続でした。
高額なX教の神鏡と、こつぜんと消えた息子の観音ペンダントの再購入でXへの借金が膨らみ、仕事の収入だけでは追いつかず、母から助けてもらうこともしばしばありました。元夫Aから毎月振り込まれる養育費の中から貯蓄していたお金も、切り崩さなければならないときもありました。当然、仕事を増やしたものの、重い子宮筋腫と、それに伴う重度の貧血症を抱えながらの家事代行業は、体力的に限界があり、ギリギリの生活が続きました。
新居のアパートでは、別棟に住んでいた住人男性(40代)から、「自転車の駐輪の仕方が悪い。倒れたら(自分の)車が傷付く」と、頻繁にクレームを付けられました。他の方々と同じように置いていたのですが、「車が傷付く・・・やめて・・・どけて・・・」と、呪文のように唱えながら迫り、何度も細かく位置を変えさせられました。
ある時は、私の背後から音もなく忍び寄り、私の肩越しから顔をにゅ~っと突き出し、「ねえ・・・やめて・・・そ・の・止・め・方・・・」と、不気味に笑いながら言われ、心臓が止まりそうになりました。またある時は、自転車を止めていた私の体スレスレに、猛スピードの車で横切り急停車!危うくひかれそうになり、恐怖で立ちすくむ私を、あざけるような目で見つつ、車から降りると、「ケッケッケッケッ」と、低い声で笑いながら去って行きました。
執拗な嫌がらせに耐えてきましたが、さすがにこの時は屈辱感が沸点に達し、帰宅した途端、大号泣をしました。「母子家庭だからってばかにするな!!夫がいたら絶対にされなかった!!」と、のたうち回って泣きました。
この一件から、自分がとても哀れに思えてきて、そうなると一事が万事で、仕事の清掃中、「なぜ、私が他人の便器を磨かなきゃいけないんだ」と悔しくなったり、買い物中、見切り品や半額品ばかり気にして探している自分に気付き、「以前なら、オーガニックかどうかを気にして探していたのに」と情けなくなったり、過去の生活とのあまりの落差に落ち込みました。
また、そんなギリギリの生活のため、I氏(呪術的整体師)の治療に行くのも滞りがちとなり、ついに「言われた通りの回数を来れないのなら、もう治療しない」と断られてしまいました。「金持ちか著名人しか治療しない」と言っていた人だったので、断った本当の理由は違ったのかもしれません。しかし今思えば、「イエス様が“呪術”から助け出してくださったのだ」と感謝しています。
そして、私の中に巣を作った“落ち込みの霊”は、さらに活発化し、それを払拭したい!と、ますますXを求めるようになっていきました。しかし、どこか「満たされない心」が・・・「Xを信じる」と言いながら、他にも“超自然的な存在と力”を次々と求め始めたのです。
ある日、心の飢え渇きから、ネットサーフィンをしていた私は、「引き寄せの法則」に出会いました。「引き寄せの法則」とは、「“宇宙意識”に働き掛け、欲しいものを引き寄せ、欲しくないものを遠ざける。成功した自分のイメージを“思考”に植え付け、成功している状態を、口に出して日々宣言し続けることで具現化させていく」という、一種の「自己啓発的成功マニュアル」のようなものでした。
一見、御言葉にある「祈って求めるものは何でも、すでに受けたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになります」(マルコ11:24)、「あなたがたがわたしの名によって父に求めるものは何でも、父があなたがたにお与えになるためです」(ヨハネ15:16)に通じているように見えますが、そこに「天の父」も「イエス・キリスト」も「聖霊」も存在しません。
だから、クリスチャンとなった今では心動きませんが、相当落ち込んでいた当時の私にとってはとても魅力的な、心躍る、希望に溢れたものに思えました。「実践したい!そして幸せになるんだ!」と、ついDVDと本を購入してしまったのです。それを追求していくうち、「マーフィーの法則」にもたどり着きました。
「“潜在意識”をうまく活用すれば、成功していく!」という、ジョセフ・マーフィー博士が唱えた成功の法則。そこからまた次、その次へ・・・と、「見えない力」によって、暗闇の世界へと、さらに深く、深く、引っ張られていき、どんどん真理から離れていったのです。
◇