改名騒動が落ち着き、お盆の季節となった頃、墓参りの予定を立てました。「お盆・お彼岸は生命力が停滞し、病弱な人は命の危険さえあるが、逆に、地から湧く先祖の“骨の力”と、天から帰ってくる“魂の力”が合体し強くなる時期なので、墓参りをすることでより多くのエネルギーを充電できる」と言われていたからです。
墓参り間近の時、霊能者の仕事を始めたばかりのLさんという女性に出会いました。友人の友人で、一度ごあいさつをした程度だったのですが、後日、その友人が「〇〇の墓に眠る(私の)曾々おばあちゃんが現れ、知らせてほしい、とメッセージを言づかりました。直接聞かれますか?」と言ってきたのです。驚いたことに、その曾々祖母とは「大移動によって“気”が断ち切られている!」と気になっていた墓に眠っていた人だったのです。「墓参り間近のタイミング、きっと私に何とかしてほしいんだ。これは聞かなければ!」と、すぐに彼女に会う段取りをしました。
私の家に着いたLさんは、車を降りるや、とても怖い表情で天を仰ぎ、両手を上げ、小さな声で何かをつぶやくと、うなずいたり首を横に振ったりして、目に見えぬ誰かと会話を始めました。私があいさつしても、違う次元に行っているのか?まったく気付かず、私のそばを素通りして玄関へと向かったので、急いでドアを開けて中へと招き入れました。
すると、正面に貼っていたY氏の波動入り写真(竜形の炎が写った、青木ヶ原樹海での浄霊風景)を凝視し、近寄りながら再び何かと会話を始め、大きくうなずくと、次の瞬間、一気にバリッと剥がしたのです ! まるで「剝がせ ! 」と強く命じられたかのようでした。さらにどんどん奥へと入ってきて、家中に貼ってあったX教の観音カードや写真をすべて剥がしました。私は声も出ず、ただ唖然とするばかりでした。
その後、降霊が始まったのですが、それは想像を絶するものでした。まず、先祖を名乗る霊が「生前、人を殺してしまった」と泣き崩れたので、介抱すると、突然、その先祖に殺され恨みを持った霊に変わり、「お前が落とし前をつけろ!」と襲いかかろうとしました。
Lさんがそれを内側で抑え込むと、次は、神を名乗る男の霊が降り、X教のY氏のことを話し始めたのです。Lさんが知らないはずのY氏のことを言い当て、「X神は、いまだ幼い子どもの神だから、自分に従いなさい。X神も任せると言っている」と言った後、何人もの神を名乗る男女の霊たちが次々に降りてきては、「私も思う!」「俺も思う!」と矢継ぎ早に同意をする・・・というパターンが繰り返されました。
10数人の「神」を名乗る霊が降りましたが、すべてのキャラクターが見事に違い、これがもし演技だったとしたら、アカデミー賞ものです。しかし、Lさんはごく普通の主婦で、どちらかというとおとなしい感じの方でしたから、さすがにそれは考え難いところでした。
その「神」と名乗る霊たちの発言はますますエスカレートして、「直ちに離婚しろ ! さもないと、命の保証はできない ! 」「前世もAとは夫婦で、夫の酷いDVに相当苦しめられた。だから、現世では一般人に手が出せない職業になったが、その分、精神的に暴力を振るうようになった」と話している最中、“前世の夫の霊”というのが、私を拳で殴ろうとするのを、Lさんが内側から必死で止める・・・といったことも何度かありました。また、“Aのバイクについている悪霊”も入ってきて、「あんたの旦那は、なかなか面白いぜ」とニヤッと笑ったり・・・息つく間も無く、約5時間もの時が流れていきました。
多くの霊が登場し、多くのことを言いましたが、何度も言われたのは「Xから離れ、こちらに来い!夫と離婚せよ!」でした。また、「バイクには相当強い悪霊がついているから、処分するか、強い霊能者による大きなお祓いが必要!」とも言われました。最後に、Lさんが背負ったさまざまな霊を「浄霊」すべく、友人の車で近くの神社に移動し、納めました。
浄霊の際、Lさんは何度も何かを吐き出すような仕草をし、とても苦しそうでした。よくよく考えてみると、肝心の、曾々祖母からのメッセージは聞かず仕舞いでした。しかし、私が「聞きたい」と希望したことで、Lさんの体に相当なダメージを与え、また、最後まで付き合ってくれた友人にも大変なお世話をかけてしまったことを本当に申し訳なく思います。
不安になった私は、その後すぐ、Aと息子がバイクに乗った写真を手に、Y氏の所に出向き、その日の体験を話しました。Y氏は「大変な経験をしたわね」と、写真に波動を入れながら「大丈夫よ」とニッコリ笑いました。その言葉に安心した私は「やっぱりX神は偉大だ!」と、さらに間違った信仰を強めていったのです。
Lさんですが、私がクリスチャンになってしばらくたったとき、偶然お会いする機会がありました。まるで別人のように素敵に輝かれ、霊能者ではなく、美容関係のお仕事をされていらっしゃったのは、とてもうれしいことでした。心から祝福をお祈りしました。
こうして、的を外れた選択の積み重ねにより、ますます「闇の支配者」たちを呼び続け、ついに、自業自得の「離婚宣告」・・・。波乱の人生は、さらに大きく、加速がついていくのでした。
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