【CJC】2017年11月に米ワシントンで開設された「聖書博物館」は、所蔵していた中世の4福音書の筆写本が盗品と分かり、本来の所有者アテネ大学に返還することになった。
同博物館のスポンサー、クラフトストアチェーン「ホビー・ロビー」が、イラクからの筆写本不法輸入への罰金300万ドル(約3億3千万円)支払いに同意したことで、今回の返還につながった。
この筆写本は12世紀のもので「マニュスクリプト18」と呼ばれる。1991年以来、所在不明となり、7年後にロンドンで開かれたサザビーズオークションに出品され、匿名の入札者に落札された。
「ホビー・ロビー」のオーナー、スティーブ・グリーンが購入したのは2010年になってから。14年に同博物館に寄贈した。
博物館キュレーター主任のジェフ・クロハ氏は、返還決定に特別な問題はなかった、と宗教専門RNS通信に語った。
「私たちは『聖書博物館』だから、『人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい』なのだ」と、マタイによる福音書7章12節(注参照)を引用して語った。
「マニュスクリプト18」は現在、アテネ大学との協定により公開展示され、10月1日に正式に返還される。
注:「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」(マタイ7:12)は日本聖書協会の新共同訳。本記事の原文(英語)は、「他人にしてほしくないことのように、他人がしてほしくないことを他人にするな」と訳せる。