数年前に仏教からキリスト教に改宗した中国人ビジネスマンのウェンチン・サン氏が、カナダのサスカチュワン州ムースジョー市に、建設費120万ドル(約1億2千万円)をかけ、実物大の巨大なノアの箱舟のレプリカを建設しようとしている。
この箱舟は、同市南部にあるサンセット霊園の敷地の一部に建設される予定で、同霊園の管理人、マーク・ローア氏が明らかにしたところによると、サン氏は中国北部の瀋陽(シェンヤン)市で既に聖書のテーマパークを建設しており、世界中に福音を広めようとしているという。
ローア氏は、カナダのCBCニュースに、「サン氏の仏教からキリスト教への改宗は本物です。この事業は、全世界に福音を伝えたいという彼の願いの一部なのです」と述べた。
同霊園は既に、新しいテーマパークの建設予定地として認可されており、ローア氏は「旅行者の目を引くユニークな建造物」として世界中から観光客が訪れるだろうと語った。
「いかに多くの人々がバチカンに行くことでしょう。エルサレムの嘆きの壁にも多くの人々が訪れています。ですから、ひとたび名前が広がり、売り込みが始まれば、ムースジョー市は観光客の呼び物になることは間違いなしです。さらに、サンセット霊園も栄えていきます。そこに埋葬されたいという人々がたくさん出てくるでしょうから」とローア氏は言う。
非都市部自治体である同市の職員、マイク・ワーグス氏は、全長136メートル、幅23メートル、高さ13メートルの箱舟を擁するテーマパークであれば、従来の枠を超えるテーマパークになるだろうと述べた。
「ジェットコースターとか、そういったレベルのテーマパークの範疇(はんちゅう)をもはや超えたものです。基本的に歩いて通り抜けていけばそれでいいパークですから」とワーグス氏。
カナダの有力紙「ナショナルポスト」は、この聖書的プロジェクトが完成するには、4年の年月と120万ドルの費用がかかる見通しだと報じた。建設のため、中国から労働者が投入されることも予想されるという。
実際に箱舟で航行する大西洋横断旅行も含め、最近はノアの箱舟に関する幾つかの別のプロジェクトも行われている。
その1つが、オランダで建築業を営むヨハン・ハウバース氏が建設した、一度に5千人を運べる、全長125メートル、幅29メートル、高さ23メートルの箱舟だ。
この箱舟は、今月閉幕したばかりのリオ・パラリンピックに向けて大西洋横断航海を予定していた。しかし、この計画は、ブラジルの不安定な経済・政治状況とジカ熱の流行によって延期された。
米ケンタッキー州では7月、創造博物館のケン・ハム館長が、「アーク・エンカウンター(箱舟との遭遇)」と名付けたプロジェクトで実物大のノアの箱舟を完成させ、メディアの関心を引いた。記念式典には7千人が参列し、ハム氏はクリスチャンポストのインタビューで、「ますます世俗化し、偏見を抱くようになっている世界の中で、クリスチャンはこのように大規模な何かをする時なのです」と述べた。
ハム氏は、実物大の箱舟を製作した意図について、「来るべき世代に、神の御言葉の真理を思い起こさせるためのものなのです。これは神の御言葉の真理を世に提供する私たちの方法なのです」と語っていた。