旧約聖書の創世記に記されている「ノアの箱舟」のストーリーにそっくりな物語が記された約4000年前のものとされる石板がイラクで発見された。石板に記された物語は様々な共通点が見られるが、箱舟の形が聖書の記述とは大きく違うため、研究者の間で大きな議論になっているという。米CNNが伝えた。
CNNによると、石板は英国の研究者が過去に古代メソポタミア文明が栄えたイラクで発見した。石板にはくさび形文字で、神が洪水を起こし、唯一の生存者があらゆる動物を2匹ずつ箱舟に乗せたというストーリーが書かれていたという。
聖書でも、創世記6章には「清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものすべて、二つずつ箱舟のノアのもとに来た」という記述があり、ノアと共に箱舟に様々な動物が2匹ずつ乗ったことが記録されている。
しかし、聖書の記述と今回発見された石板の記述で大きく異なる点が1つあった。それは箱舟の形。聖書では神がノアに箱舟の作り方について指示し、サイズについては「箱舟の長さを三百アンマ(1アンマは約44センチ)、幅を五十アンマ、高さを三十アンマにし」と命令している。この命令からすると、箱舟は長方形をしている。だが、今回発見された石板に記されている箱舟は円形。また、船体は縄でできており、防水のために塗装が施してある。聖書の箱舟もタールで塗装がされているが、「ゴフェルの木」でできた木製だ。
古代メソポタミアでは、実際に円形の船が川で使用されていたことがわかっており、研究者チームは、石板の通りに作った箱舟の模型を作り、実際に水に浮かぶかどうかなどを調査する予定だという。