世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は30日、カトリック中央協議会(東京都江東区)で第25回理事会を開催した。人事や昨年度の事業・決算報告を審議したほか、4月にインドで開催されたアジア宗教者平和会議(ACRP)執行委員会の報告などを受け、難民支援の諸団体で構成される「日本UNHCR・NGO評議会」(JーFUN)への加盟を承認した。
この日は理事16人が出席。キリスト教界からは、カトリック教会の髙見三明・長崎大司教(司教協議会会長)、深水正勝神父(志村教会主任司祭)、小林恵太氏(アトンメントのフランシスコ会修道士)、森脇友紀子氏(東京教区アレルヤ会会長)、日本聖公会の植松誠首座主教の5人が参加した。理事会前には施設内の聖堂で「みことばの祭儀」が行われ、中央協議会事務局長の大水文隆神父が、諸宗教者を前に同協議会の概要を説明。参加者全員で「フランシスコの平和の祈り」を祈るなどした。
事業報告によると、WCRP日本委は昨年8月、第1回日中宗教指導者交流を北京と雲南省で実施。同委評議員の小橋孝一・日本キリスト教協議会(NCC)議長(当時)ら27人が、現地の仏教寺院やカトリック教会などを訪問した。震災支援では、被災地で活動する諸団体(東日本大震災60団体、熊本地震16団体)に財的支援を実施。昨年ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の事務局長との懇談や、地球温暖化対策の一環として植樹活動を行ったほか、シリア人難民を留学生として受け入れるなどした。
ACRP執行委員会には、日本からは7人が参加した。規約改正や、改善が求められていた常設委員会のタスクフォース(特別事業部門)化で議論の進展があったという。
2年前にソウルで初開催された日韓宗教指導者交流は、第2回を今秋、北海道で開催する。日中宗教指導者交流は、2020年に日本でACRP大会が開催されるため、第2回は21年開催の方向で調節していることが報告された。
JーFUNへの加盟は、シリア人難民の留学生受け入れで協力する難民支援協会(JAR)から推薦を受けた。負担金はなく、加盟により国連機関やさまざまなNGOとの情報交換を行えるようになるという。
国際事業では、海外の宗教指導者によるハイレベル諸宗教使節団が今月22日〜25日、ロヒンギャなどの民族対立問題を抱えるミャンマーを訪問した。日本からは、WCRP国際委名誉会長で同日本委会長の庭野日鑛(にちこう)氏(立正佼成会会長)らが参加。アウン・サン・スー・チー国家顧問とも面会し、声明を手渡すなどした。
特別事業部門からは、「核兵器禁止条約批准」「気候変動」「和解の教育」「難民問題」「東日本大震災復興」「熊本地震復興」の6つのタスクフォースが報告した。「難民問題」は、昨年の来日以来、日本での生活が1年になるシリア人難民留学生の声を紹介。「熊本地震復興」では、被災者向けのラジオ番組「こころのハーフタイム」を今年3月で終了したが、ラジオ局の担当者からは「何度も涙がこぼれそうになった。思わず『なるほど』と手を打ちたくなる話もあり、有意義な放送ができたと感じている」と言葉を掛けられたという。
常設機関からは、平和研究所、女性部会、青年部会が報告した。女性部会は4月、『災害児に備えて 発達障がい児者受け入れのてびき』を発刊した。避難所になる可能性のある宗教施設向けに出したものだが、多くのメディアで取り上げられたことから、NGOや学校関係者などからも注文が入っていることを報告した。