戦争放棄などをうたう日本国憲法第9条の精神を国内外に発信する「9条世界宗教者会議」が今年6月、被爆地・広島で開催される。2年ぶり6回目の開催で、国内だけでなく、海外からもさまざまな教派のキリスト教会の代表者が参加する予定。
テーマは「憲法9条による世界の平和―被爆地ヒロシマから」。キリスト教関係では、国内からは日本キリスト教協議会(NCC)、日本カトリック正義と平和協議会、在日大韓基督教会などが参加する予定。海外からは、世界教会協議会(WCC)、アジアキリスト教協議会(CCA)、韓国キリスト教教会協議会(NCCK)、香港基督教協進会(HKCC)などの各地域・国のキリスト教団体のほか、米国やカナダ、英国、ドイツ、台湾各国の諸教会から参加が予定されている。
9条世界宗教者会議は2007年11月、東京の在日本韓国YMCAで第1回が開催されて始まった。第2回(09年)は韓国・ソウル、第3回(11年)は沖縄で開催され、それまでは「9条アジア宗教者会議」の名称で行われた。東京で開催した第4回(14年)から現在の名称に変更。第5回(16年)は大阪で開催した。
第6回会議は6月13日から15日までの日程で行われ、100〜120人の参加が見込まれている。1日目には、『平和都市ヒロシマを問う』などの著書があるNPO「ピースデポ」共同代表の湯浅一朗氏が基調講演。被爆証言として、広島で被爆した在日韓国人の朴南珠さん(カトリック広島司教区観音町教会信徒)が語る。
また1日目と2日目の2日間かけて、「海外から見た憲法9条」「アジアから見た憲法9条」「朝鮮半島をめぐる情勢」「沖縄・岩国 軍事基地をめぐる状況」のテーマで、計4つの発題を行う。2日目夜には公開講座を開き、最終日には共同声明を発表。最後に広島平和記念公園の原爆供養塔前で祈りの集いを開く。
9条世界宗教者会議の小橋孝一委員長(NCC元議長)は開催を知らせる文章の中で、9条を含む改憲の議論が現実味を帯びている状況に言及。第6回大会が、改憲をめぐる日本の社会・政治的な状況に影響を与えることに期待を示した。