米テキサス州のメガチャーチがこのイースターに、多額の医療債務で苦しむ近隣の約4千世帯を救済した。救済した負債総額は1055万ドル(約11億3千万円)余りに上り、イースターのメッセージで牧師は、イエス・キリストも同様に、われわれ一人一人の罪という負債を買い取ってくださったのだと伝えた。
医療債務で苦しむ「隣人」たちを助ける取り組みを行ったのは、同州キャロルトンに拠点を置くカベナント教会。スティーブン・ヘイズ主任牧師はイースターの説教で、この取り組みのために多くの献金をしてくれた教会員に感謝を示した。
同教会は過去数年間、イースター礼拝を宣伝するため、ラジオやテレビCM、ビルボード誌の広告や郵便広告などを使用し、宣伝費として毎年10万ドル(約1070万円)余りを使ってきた。しかし今年は、通常とは違う方法でイースター礼拝の宣伝費を使用した。医療債務者の救済活動を行っている非営利団体「RIPメディカル・デット」に、10万ドルを寄付したのだ。
医療費が高額な米国では、5人に1人が医療に関する何らかの債務を負っているとされ、自己破産の原因の6割が医療費に関わるものとなっている。また、回収不能と判断された不良債権が売りに出される二次市場が存在し、そうした市場では債権額の100分の1程度の価格で債権が売買されるという。通常はより強引な手法で取り立てを行う業者が買い取るが、同団体が買い取ることで、債務者が救済される仕組みになっている。そのため、同教会が10万ドルを寄付したことで、その約100倍の1055万ドルの医療債務が免除された。ヘイズ牧師は説教で次のように語った。
「この医療債務を買い取り、手紙に次のように書いてはどうでしょうか。『私たちはこの地域の教会で、カベナント教会と申します。私たちは、何らかの方法で皆さんに奉仕することが可能です。また、この教会があなたの教会になれることを願っています。例え私たちがあなたに会えないとしても、神があなたを愛しておられることを知ってください」
こうした取り組みを行った背景には、ヘイズ牧師自身の経験がある。米テレビ局NBC-DFW(英語)によると、ヘイズ牧師は17歳のときに交通事故に遭い、12日間にわたる集中治療を受けた。ヘイズ牧師の家族は医療費の支払いのために破産寸前にまでなったが、当時通っていた教会の助けもあり支払うことができたという。
同教会の寄付により、医療債務が免除されるのは近隣に住む4229世帯。ヘイズ牧師は「私たちは10万ドルを寄付することにしました。これは今までに教会が下した一番簡単な決定だと言えるでしょうか。合計で1055万1618ドル(約11億3千万円)を支払ったことになります。これだけの負債が支払われ、永久に消え去ったのです」と語った。
ヘイズ牧師は、ヨハネによる福音書19章30節を引用し、会衆もまた同じような手紙を神から受け取っていることを思い起こさせた。その箇所では、十字架上のイエスが「完了した」と語り、息を引き取る。
「皆さんが受け取った手紙にはそう書かれているのです。今週、負債が完済されたことを記した手紙を受け取る人々がどう感じるか、皆さんは想像できますか。しかし私は、皆さんがその100倍の愛を感じるように祈りました。ヨハネ19章30節で、神が皆さんに書かれた手紙を読むときにです。
皆さんの罪の負債は支払われたのです。皆さん(の罪)は償われています。神は私たちにも手紙を書かれました。その手紙を見て、書かれていることの意味を理解したら、私たちは何らかの応答をするはずです。他の人にも手紙を送って、こう言いたくなるのではないでしょうか。『何があったと思う。こんな手紙を受け取ったんだ。あなたもこんな手紙を受け取りたいと思いませんか』」