日本聖書協会が発行する日本語訳聖書「新共同訳」が、世界中で使用されている無料の聖書アプリ「YouVersion(ユーバージョン)」で利用できるようになった。「新共同訳」を利用するには、インターネットへの接続が必要だが、音読機能もある。また、ユーバージョンのウェブサイト「bible.com」でも章単位で本文を読むことができ、音声による再生も可能。
ユーバージョンは、ダウンロード数が3億を超える人気の聖書アプリ。24日現在、1204言語1711訳の聖書をすべて無料で利用できる。日本語ではこれまで、著作権の保護期間が終了した「口語訳」(アプリ上の表記名「Colloquial Japanese (1955)」と表記)と、現代人にも分かりやすい言葉で意訳された「リビングバイブル」の2つの訳が提供されていた。今回は「新共同訳」の他に、同協会が直接提供する「口語訳」(同「Japanese: 聖書 口語訳」)も追加された。
ユーバージョンの開発・運営元である米国のメガチャーチ「ライフチャーチ」によると、「新共同訳」と「口語訳」は、同アプリ上で利用できる1675番目と1676番目の聖書訳。ユーバージョンの担当責任者で同教会牧師のブライアン・ラッセル氏はクリスチャントゥデイの取材に応じ、「増加する日本のアプリ利用者に、新しい訳を使用できるようにしてくれた日本聖書協会には心から感謝している」と語った。
ラッセル氏によると、日本のユーバージョン利用者はここ1年間で約27パーセント増加した。また、アプリの利用状況も活発化しており、聖書を読むためにアプリを開いた頻度は前年比で69パーセントも増えた。ここ1週間はさらに6・4パーセント増えており「信じられないほどの増加。日本聖書協会の協力なしには不可能だったはず」と言う。
ラッセル氏はまた「新しい訳の追加は、日本の人々が普段から聖書に親しめるようにするという、われわれの共通の目標に向けた取り組みの1つ。新しい日本語の聖書訳に対するアプリ利用者の関心の高まりもあり、日本聖書協会の協力により、新しい訳を追加できたことはうれしい」と語った。
今回追加された「新共同訳」と「口語訳」は、聖書本文のデータ自体はダウンロードできないため、利用するにはインターネットへの接続が必要。一方、従来から利用できた「口語訳」(「Colloquial Japanese (1955)」)とリビングバイブルについては、一度ダウンロードすればインターネットに接続できない環境でも利用できる。
ユーバージョンは2008年、iOS(iPhone などで使われている基本ソフト)の「アプリストア」で利用可能な200のアプリの1つとして製作された。現在はiOSのほか、Android、Windows Phone でも利用できる。
カトリックとプロテスタントが協力して18年かけて翻訳した「新共同訳」は、現在、日本で最も多く使われている聖書訳。今年12月には、「新共同訳」に続く新しい訳として「聖書協会共同訳」が出版される。