20世紀最大の大衆伝道者といわれるビリー・グラハム氏は、『今よみがえる黙示録の預言』で次のように警鐘を鳴らしている。「私たちは、やがて来る黙示録級の規模の暴風を何もせず見つめているのではないでしょうか。・・・四方八方から暴風警報が鳴り響き、地平線には大きな黒雲が浮かび上がっています」と。
まさに現代世界は、大きな黒雲が覆っている印象を受ける。2014年、NHKは、「NHKスペシャル巨大災害、地球大変動の衝撃」という番組を放映した。第1集「異常気象 暴走する大気と海の大循環」、第2集「スーパー台風 海の異変の最悪シナリオ」、第3集「巨大地震 見えてきた脅威のメカニズム」、第4集「火山大噴火 迫りくる地球規模の異変」、さらに「日本に迫る脅威 激化する豪雨」という番組で視聴者に大きな衝撃を与えた。まさに現代人は、地球環境的にも極めて大変な時代に生きていることを思い知らされる。
「それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしは、憤って激しい風を吹きつけ、怒って大雨を降り注がせ、憤って雹(ひょう)を降らせて、こわしてしまう」(エゼキエル13:13)
さらに一昨年、米国にトランプ大統領が誕生して以来、トランプ氏の言動で、国際政治的にも世界は激しく揺れ始めている。特に、昨年12月にトランプ氏が、エルサレムはイスラエルの首都と認定し、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移すと表明したことによって、世界中に激震が走った。
聖書預言的観点から、終末時代において、今後最も難しく危険をはらんだ問題は、エルサレム問題であると以前から言われ続けていた。ユダヤ民族にとって、エルサレムはユダヤ教の聖地、キリスト教徒にとっても聖地、アラブ人にとってもメッカ、メディナに次ぐ聖地である。エルサレム問題は、さまざまな複雑な要素がからみ合い、永久に解決できない難問と見なされている。
聖書の預言では、終わりの時に世界の国々がエルサレムに侵攻し、エルサレムを巡る争いが世界を戦争に巻き込むと警告している。
「宣告。イスラエルについての主のことば。――天を張り、地の基を定め、人の霊をその中に造られた方、主の御告げ――見よ。わたしはエルサレムを、その回りのすべての国々の民をよろめかす杯とする。ユダについてもそうなる。エルサレムの包囲されるときに。その日、わたしはエルサレムを、すべての国々の民にとって重い石とする。すべてそれをかつぐ者は、ひどく傷を受ける。地のすべての国々は、それに向かって集まって来よう」(ゼカリヤ12:1~3)
さらに新年が明けて、1月25日に米国の科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」は、世界の終わりまでの時間を象徴的に表す「終末時計」を30秒進め、「残り2分」であることを明らかにした。その理由は、核戦争の脅威への対応に失敗し、以前よりも危険にさらしてしまい、第2次大戦後の冷戦時並みの脅威になったからと説明している。このことは、言うまでもなく北朝鮮の核・ミサイル開発と、それに対する米国との間の挑発的な言動を指している。
終末時計は、核戦争の危機を警告する目的で、戦後間もなく1947(昭和22)年に初めて同誌に掲載、人類が滅亡する「地球最後の日」を午前0時と定め、残り時間を象徴的に示している。ソ連が核実験した1953年に「残り2分」と最も終末に近づいたが、今回はその時と同じ状態になった。しばらく前までは、人類を滅ぼすような核戦争は起こるはずないという風潮が世界的にあった。
しかし、2001年の9・11の米国の同時多発テロ以降、テロの脅威などが一段と増し、核戦争の脅威が今や現実的なものとなりつつある。私は、一般市民や子どもたちを巻き込む大量殺りくの戦争は、絶対に反対だ。しかし、現代の極東アジアの危機に対して強い危惧を禁じ得ない。
キリストの終末預言の言葉が心に浮かんでくる。
「また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。これらは必ず起こることです。しかし、終わりが来たのではありません。民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります」(マタイ24:6、7)
(イスラエルの写真提供・石井一弘氏)
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