世界教会協議会(WCC)の代表団が、7日から16日までの日程で、中国を訪問している。世界348の教会・教団が加盟するWCCは今年、設立70周年を迎え、今回の訪問はその記念行事の初めを飾るもの。初日の7日には、首都・北京にあるプロテスタント教会で、総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト牧師(ノルウェー教会)が「イエス・キリスト、世界の喜び」と題して説教した。代表団は期間中、中国国内の主要な教会や神学校、キリスト教団体を訪れるほか、宗教指導者や政府の宗教当局者とも面会する。
代表団にはトヴェイト氏のほか、アジア議長の張裳(チャン・サン)牧師(韓国基督教長老会総会)、宗教間対話・協力担当責任者のペニエル・ラクマー牧師(南インド教会)らが含まれている。一行は、上海の東中国神学校や、西安の陝西(シャンシー)聖書学校などを訪問。また、共に中国政府公認のプロテスタント教会でWCCに加盟している中国基督教協会(CCC)と三自愛国運動(三自愛国教会)の代表者とも会合を持つ。
訪問団は初日、北京の崇文門(チョンウェンメン)教会を訪れた。1870年に米国のメソジスト教会が建設した、中国で最も古いプロテスタント教会の1つだ。1900年に義和団の乱で破壊されるが、4年後に再建。文化大革命の期間は閉鎖に追い込まれるも、1980年から再び活動を始め、現在は中国を代表するプロテスタント教会となっている。日曜日には礼拝が5回行われ、若者の出席者も多い。トヴェイト氏が説教した礼拝には約千人が集い、共に祈りをささげた。
「私たちは、誰であろうと、どこに所属していようと、あらゆる人々と共に神の愛と平和の福音を宣(の)べ伝えるために召されています」。トヴェイト氏は説教でこう話し、教会とWCCの中国における役割や、子どもたちの保護、緊張が続く朝鮮半島や中東、コロンビアにおける平和に向けた努力について語った。また、ユリウス暦を使う正教会などでは7日がクリスマスであったことから、クリスマスについても語った。
「イエス・キリストについて語るとき、最初に出てくる言葉は『喜び』です。クリスマスというキリスト降誕を喜ぶこの時期に、ここ北京を訪れることは本当にうれしいことです。今日の世界に生きる私たちに必要なのは、あらゆる国境を越えて、人々をつなぎ合わせ、いつまでも続く喜びの中にいさせてくれるものです」
「光が世に来ています。人となるために。(キリストは)生まれたばかりの赤子という明らかに最も弱い者でありながら、神による威厳が表されています。私たちは皆、神の姿に似せて創造されました」
「今、天からのメッセージがすべての人々に向けられています。保護は、私たちすべての人々に平等に与えられるべきです。私たちは誰でも保護を必要とし、またそれを受ける権利があるからです」
「エキュメニカル運動は『すべての人々』の視点でなされています。クリスマスの喜びは、私たちの働きそのものであり、私たちが今、ここ中国の北京で、クリスマス当日にWCCの70周年記念を始めることなのです」
「この喜びは、改善可能ではあるがいまだに分断されている世界の中で、教会として、人間として私たちを結び付けてくれるものです。この国のように、多くの人々が貧困から脱している国もありますが、世界中の多くの人々はいまだに貧困や不治の病、紛争、恐怖、孤独、そして絶望に苦しめられているのです」
トヴェイト氏はまた、中国の教会についても言及した。
「私たちはイエス・キリストの良き知らせをすべての人々と分かち合い続けます。WCCの加盟教会にとっての良き知らせは、中国の教会の生き生きとした姿と成長のニュースを聞くことです。キリストの証人である皆さんは、教会がまさに苦難の中を歩んでいたときも、そしてその後も、世界の多くの人々に希望を与えているのです」
そして最後には、世界で起こっている解決困難な紛争について触れ、次のように締めくくった。
「『クリスマスの喜び』は、平和のないところで暮らしている人々への言葉です。皆さんは今、朝鮮半島の隣国で戦争が起こるかもしれないという危機の中で暮らしています。私たちは長い間、そして特にここ数カ月間、朝鮮半島に住む人々のために祈ってきました。WCCは、平和の君であるイエス・キリストにあって、彼らの恐怖と信仰を共有しています。また中南米、特にコロンビアの人々に、注意を向けていきたいと思います。クリスマスのこの時期、私たちの兄弟姉妹、そしてベツレヘム、中東にいるすべての人々に平和が来ますようにと思わされています」