ルーマニア正教会の日本支部(東京都国立市)が16日、「正教会の贈り物」と題し、一般の人々を対象にした初の集会を行った。集会前には「日頃キリスト教に興味を持っていらっしゃる方々へ、本教会、そして信仰についてご紹介したいと思います。・・・お話の後に、本教会の子供合唱団『喜びの使者』によるクリスマスキャロルのミニコンサートもお楽しみ頂こうと思います。またルーマニアの伝統的料理の御会食がございます」とフェイスブックで呼び掛けていた。
ルーマニアは、黒海に面した東ヨーロッパの旧社会主義国。女子体操選手のナディア・コマネチが有名だ。国民の約8割がルーマニア正教会に属し、正教会としてはロシア正教会に次ぐ信徒数を誇る。
日本におけるルーマニア正教会の活動の歴史は浅い。在日ルーマニア人のコミュニティーの代表者が2008年、ルーマニア総主教座へ司祭の派遣を要請すると、その年のうちに日本支部設立が決定され、2人の司祭が日本に派遣された。その1人が13年まで静岡県や千葉県に住みながら、都内のコミュニティーセンターやカトリック教会などを借りて聖体礼儀を行っていた。その後、コリウ・ダニエル現主任司祭に交代して、16年からカトリック立川教会国立集会所を借りるようになった。その後、カトリック教会が会堂を手放すのを機に、ルーマニア総主教座から支援を受けて土地と建物を購入し、リフォーム後、今年4月から正式に日本初のルーマニア正教会の会堂として活動を始めたのだ。現在、同教会には30人ほどの信徒が在籍している。
「人々には、祈りの場が必要です。私たちに会堂が与えられたことを感謝します。この場を地域の方々にも知っていただきたい。そして、教会を訪れて、共に祈り、交流できる場になることを願っています」とダニエル主任司祭。
16日に行われた集会では、ルーマニア文化を研究している学生やルーマニア語を勉強している人などが集まり、正教会やルーマニア文化に関する質問が飛び交った。
その後、子どもたちが民族衣装を身にまとい、クリスマスキャロルを歌うミニコンサートが行われた。この衣装はルーマニア伝統のものだといい、中には、約100年前の曽祖父の時代から代々受け継がれてきた衣装を着ている子どももいた。
その後、教会メンバーの手作りによるルーマニア料理が振る舞われた。正教会は、四旬節(レント)だけでなく、クリスマスまでの40日間(11月15日~12月24日)も断食をする。ただし、動物性のものを断つだけで、植物性のものは食べてもいいという。並んだ料理の中には、確かに肉や魚などはなかったが、東欧の華やかな料理が並び、参加者の目と舌を楽しませた。
この教会は、設立前から信者によって「聖大致命者ゲオルゲ教会」と名付けられている。ローマ皇帝ディオクレティアヌス帝によって棄教を迫られ、殉教した聖人だ。殉教者が絶えなかった初代教会時代から、キリスト教徒たちは、信仰を捨てずに殉教した人々を聖人として敬うようになった。その後も聖人たちの信仰の模範を忘れないようにと、彼らの墓の近くに教会を建てるようになったという。そして、聖人から洗礼名を付けるように、教会や小教区にも聖人の名が付けられるようになったのだ。
司祭の給与は母国からの支援を受けている。ルーマニアでは150年ほど前から、教会関係の仕事をしている者の給与の6割を政府が負担する制度になったのだ。しかし、健康保険料や税金といった公租公課を国に納めなければならないので、結局は国からの給与支援とほぼ同額が再び国に戻ることになる。だから、司祭の生活費などは原則として、各教会での献金で補うことになるという。
同教会の聖体礼儀はルーマニア語で進められるが、説教には日本語の通訳者が付く。12月25日にはクリスマス礼拝と祝会が行われる。詳しくはホームページ、またはメールで問い合わせを。
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