7月10日(月)午後7時より、東京・有楽町にある外国特派員協会メインバーにて、中西裕人写真展「AGION OROS ATHOS」開催に際してのレセプションパーティーが協会主催で開かれた。
この日真夏日を記録した東京。刻々と夕日の落ちる夜景を見ながら、ワイングラスを片手に日本国内はもとより、多くの海外メディア関係者にも触れられる機会となった。
A1サイズの大判13点、A2サイズ4点で飾られたメインバー内は、徐々に日が落ち、会場は聖堂内と同じような色味に変わり、会場のキュレーター、責任者でもある写真家のブルース・オズボーン氏のあいさつから会がスタートした。
彼と出会ったのは、ちょうど半年前、今年 KYOTOGRAPHIE にも参加された写真家の吉田亮人氏が展示をこの場所で開催され、その時紹介していただいたのがきっかけである。
その後、何度かブルース氏と打ち合わせを重ね、今回この場所での展示が決まり、今日に至った。
パーティーには、駐日ギリシャ大使館の Georgios Partheniou(ゲオルギオス・パルテニウ)参事官と大妻女子大学の講演にもお越しいただいた Dionyssios Protopapas(ディオニシオス・プロトパパス)参事官もお見えになり、スピーチを頂く場面もあった。また、大妻女子大学の講演の主催でもあった日本ギリシャ協会(横山進一会長)の事務局長、川上修二氏もご参加いただき、スピーチを頂いた。また、父である日本ハリストス正教会司祭(ニコライ堂)である中西裕一氏も参加した。
日本国内からは、多くの写真家、出版社関係をはじめ、キュレーター、今回プリントを担当した堀内カラー(矢島尚氏)など、海外からも、通信社をはじめ、写真家、キュレーター、デザイナー、翻訳家など総勢60人を超える参加者が集まり、盛大に幕を閉じた。
展示内容としては、A1サイズ13点、A2サイズ4点のうち、聖堂内6点、修道士の生活5点、風景6点で構成している。
この機会にぜひ、この時代にいまだ知られざる聖地アトスという場所で、男性だけの修道士たちの祈りにささげた生活が行われているということだけでも知っていただけたら幸いです。
8月4日まで開催しています。ぜひお越しください。
(撮影:杉山雅史)
写真展内容
北ギリシャ、エーゲ海に突き出したハルキディキ半島。その先端部に3本の指のように並ぶうちの最も東端の半島に、世界遺産に登録されていながら、撮影禁止のためにこれまで謎に包まれた場所がある。
全長45キロ、幅5キロに及ぶこの半島は、原始キリスト教の流れを最も色濃く汲むギリシャ正教最大の聖地であり、聖山(アギオンオロス)アトスと呼ぶ。
伝承によれば、生神女マリア(キリストの母)が旅の途中、嵐に遭遇し、この地に降り立ったのが始まりで、2033メートルを誇るアトス山や美しい半島に惹(ひ)かれ、自らの土地としたとされる。
950年を過ぎると、聖アサナシオスがアトス山から湧き出る豊かな水脈を見つけ、メギスティスラヴラ修道院を建設、これを機に共同居住型の修道施設が活発に建てられるようになり、修道士が住みついたのだという。
1400年より、「女性は生神女マリアだけである」という考えから、女人禁制となり、その掟(おきて)は今日まで守られ続け、男性のみ2千人の修道士が今でも、日夜祈りを中心とした自給自足の生活を送っているのである。
アトスへの入国は正教徒であれば、巡礼という形で、所定の手続きを踏めば入国しやすいが、観光客は1日10人までと制限されている。
暦もユリウス暦を採用し続け、俗世とは13日のズレがあり、時の刻みも夕方6時を翌日の午前0時とするビザンチン時刻を用いている。
ギリシャ領内にありながら、独立した宗教自治国として認められており、ギリシャ人の9割以上が正教徒であるこの国の人々にとっては、昨今の経済危機に直面しながらも心の拠り所として、神に最も近い憧れの地となっている。
この地の首席大臣より特別に撮影の許可を頂き、近代文明から隔絶されたエーゲ海に臨む半島で、中世から変わらぬ信仰の姿を守る修道士たちに密着し、千年続く祈りの姿を今に伝えるべく今日まで取材を続けております。
<会期>
2017年7月1日(土)〜8月4日(金)
(月〜金)11:00〜22:30
(土)11:00〜22:00
(日)11:00〜20:00
(祭日)11:00~20:00
<場所>
有楽町電気ビル20F 日本外国特派員協会(FCCJ)メインバー
※地図はこちら。
※なお、日本外国特派員協会は会員制ですが、展示観覧の旨をフロントでお伝えいただければ、入場いただけます。
次回予告(8月5日配信予定)
ヴァトペディ修道院での大祭日の様子をお伝えします。
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