テレビ朝日「お昼の独占!女の60分」のアタッカーとなって早々・・・「川の中マラソン」「競技エアロビクス」と、立て続けにハードな内容に挑戦させられるも、天の父の愛と憐れみにまったく気付くことなく「X教の神」のおかげで無事クリアしたと信じ、当時の私は、ますます偶像礼拝の罪を重ねていったのです。
そして、次に来たレポートは、なんと「プロレスに挑戦 !現役レスラーとシングルマッチ30分1本勝負!」でした。その対戦相手は「バイソン木村」(:* ⬜︎ *;)!!・・・。バイソン選手と言えば、「ビューティペア」「クラッシュギャルズ」「北斗晶」など、大物レスラーを世に出した老舗団体「全日本女子プロレス」(以下、全女)のスター選手・・・。「アジャ・コング」と「ジャングル・ジャック」を結成し、「WWWA世界タッグチャンピオン」&「オールパシフィック・シングルチャンピオン」のダブル王座に君臨していた「時の人」でした。
対戦会場は、実際の興行先であった「木更津スポーツセンター」と、かなり本格的(×▽×;)。腰が砕けそうなほどの恐怖でいっぱいになりました。しかし、対戦の時は容赦なく刻一刻と・・・。無理やり腹をくくって、試合までの特訓を受けることとなったのです。
そんな私のトレーニングコーチをしてくださったのが、「ジャガー横田」さんでした。ジャガーさんといえば、かつて「WWWA世界シングル王座」(4年10カ月保持)はじめ、数々のチャンピオンに輝き、「デビル雅美」と共に「女帝」として君臨。「クラッシュギャルズ」の越えるべき高い壁となって存在した、伝説の女子レスラー。プロレスファンだった私も憧れの存在でした。
当時は、全女のコーチとして若手を育てていらっしゃいました。そのジャガーさんが、コーチをしてくださる!! このことだけが、心の支えでした。小柄ながら、さすが元王者だけあって、眼光の鋭さと強烈な存在感に、息もできないほど緊張しましたが、実際お話ししてみると、とても穏やかで優しい方でした。プロレス素人の私を、たった5日間で・・・しかも、1日わずか3時間の練習でリングに上げてほしい・・・。そんなCディレクターの無謀なお願いを快諾してくださった訳ですから、その懐の深さと大きさに敬服しました。
そして・・・「打倒! バイソン木村!」に向け、私の「プロレスラー養成特訓」が開始されました。それは・・・関節が悲鳴を上げるストレッチに始まり、ランニング、腹筋、背筋、腕立て、スクワット、首筋強化(首でブリッジもしました!)、ロープワーク(想像以上に硬かった!)・・・。
そして、「受け身」は、3つの受け身を練習しましたが、背中で取る後ろの受け身は大変でした。プロレスにしかない受け身だそうで、これがものすごく怖くて、何度も腰から落ち、その弾みで頭をマットで何度も打ちました。なのに、一向にできる気配がない(:*▽*;)・・・。「プロレス最強の“男”」と称された「神取忍」でさえ、柔道からプロレス転向後、後ろの受け身は怖くて苦労した・・・と、聞いたことがあるくらいです。
しかし、時間が無い中で、受け身ばかり練習している訳にもいかず、後ろの受け身は断念し、いよいよ技の練習に取り掛かりました。ディレクターCさんは、「テレビ的に派手なもので、佐伯でもすぐできる技を・・・」と、ジャガーさんに無茶なお願いをしていましたが・・・それでも幾つかの技を提案してくださいました。それは・・・投げ技の「ボディスラム」、打撃技の「水平チョップ」&「エルボー」、締め技の「逆エビ固め」、飛び技の「フライングボティプレス」でした。
「ボティスラム」は、投げられる体験もしたのですが、受け身を取り損ね、体への衝撃が倍増!! 内臓にまで響き、しばらく動けなくなってしまいました。「チョップ」と「エルボー」は、すべての力を相手にぶつけなければいけないのですが、なかなか重くて鋭いものが繰り出せず・・・。
「逆エビ固め」は、相手をひっくり返すのにアタフタ。「フライングボティプレス」に至っては、全女の道場の天井が低く、トップロープからの練習が一切できず、2段目から補助付きでの練習しかできなかったですが、2段目からでも想像以上に高く、これを本番では、さらに高いトップロープから飛ばなければいけないのかと、思ったら・・・叫びながら、バンジージャンプで飛んで逃げたくなりました。
もしこの時、イエス様を信じていたら、たとえ恐怖の中に置かれたとしても、「大丈夫!!」と「平安な心」を持てたと思います。「まことに主は、あなたのために、御使いたちに命じて、すべての道で、あなたを守るようにされる。彼らは、その手で、あなたをささえ、あなたの足が石に打ち当たることのないようにする」(詩篇91:11、12)。この御言葉を握って、しかし・・・イエス様とつながっていたら、こんな危険な仕事自体来なかったでしょう(^^;)。
このように、出来の悪い“弟子”の私でしたが、ジャガーさんは、怒るどころか、どこまでも優しく根気よく教えてくださいました。キャラクター的に「鬼コーチ」をイメージされるかもしれませんが、激しく怒鳴ったり、竹刀を振り回したり・・・といった怖~い指導をされる方ではありませんでした。
常に冷静に、弟子たちのスキルを見ながら、「この子には今、何が必要か?何をするべきか?」を考え、的確に指導してくださいました。たとえ、Cさんから演出的に激しいしごきのシーンをお願いされても、ご自分のやり方は変えませんでした。さすが、元王者であります。
他の仕事の合間を縫っての、限られた時間ではありましたが、撮影の無い日も毎日道場に通い、ジャガーさんのご指導と、全女の新弟子さんたちのご協力もあって、粗削りでぎこちないながら、なんとか形になっていきました。
そして・・・いよいよ、バイソン木村との戦いのゴングが打ち鳴らされるのでした!(つづく)
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