「1度も行ったことがない、最も血縁関係の濃いお墓に参り、しっかり清めることで、波動が体にたくさん入るようになり、良い“気”で満たされる。そうすれば、良い仕事がドンドン入ってきて芸能界で成功していく。その墓が見つかるように波動を送る」とY氏に言われた私は、墓を清め、身に付けていると良いパワー(気)を招くという観音カード(4枚セット2千円)を買い、それを握り締めながら、墓の場所を聞くため、母に電話をしました。「カードが波動をキャッチするアンテナになっている」と聞かされていたので「持って電話すれば、話が良い方向に進む!」と思ったからです。
母に、そのお墓のことを聞くことは、かなりの難関でした。複雑な家族事情があり、母の自尊心を大きく傷付けてしまう危険性があったからです。しかし、「私の人生が良い方向に行けば、母が喜んでくれる。幸せにできる」と願いながら話しました。
厳しいバトルを覚悟していましたが、母は不思議と冷静な口調で「何もそこまで(あなたが)する必要があるのかねぇ」と、しばらく沈黙。が、「それで気が済むなら、いっぺん聞いてみようかね~」と、墓探しを承諾してくれたのです。電話を切った後、「やった!」とガッツポーズ ! Xの“神様”に感謝しました。
間もなくして、母から「墓がある墓地が分かった」という電話が入りました。しかし、墓地にはとても多くの墓があり、そこから見つけ出すのはかなり骨が折れる作業だ、と一瞬、大きなため息が出ました。でも、「きっとすぐ見つかる。“神様”が導いてくださる!」そう、信じました。そして、その波に乗って墓参の日取りも決まりました。
後日、再びXに出向いた私は、墓探しがトントン拍子に進んでいることをY氏に報告しました。すると突然、「はい、皆さん。聞いてください!」と、集まっていた信者さんたちに向かって「このように、お墓参りをする!と決めたときから気が流れ始めるの。良い事がドンドン起きてくるのよ! だから、先祖のお墓が分からない人たちも諦めず祈って探してください。佐伯さんの先祖のお墓は“神様”が導いてくださっているから、行ったらすぐ見つかるわよ」と話し始めたのです。
ちなみに、このような良い事(Xの教理を行ったことによる奇跡)が起きると、ほぼ本人の許可なく突然公表するというのが恒例でした。新参者ながら、私はそのことにあまり違和感を感じませんでした。これも「洗脳」されていた証拠でしょう(^^;)。X内に「個人情報保護」は、ほぼ存在しませんでした(笑)。信者さんたちからは「良かったわね~!!」と、ちょっと引いてしまうくらい大げさに褒められました。「彼らのしていることはみな、人に見せるためです」(マタイ23:5)が浮かびます(^^;)。
逆に、悪い事(教理を守らず問題が起き、それまでのY氏からの献身を無駄にした行いをしたときなど)も、同様に発表されました。そうなると、今度は途端に掌(てのひら)返し!・・・その対応たるや、まるで「犯罪者」扱い(;*_*;)・・・。全ての信者さんがそうだった訳ではありませんが、熱狂的信者の人たちからは「罰当たり !」「不信心!」「近付くと気を盗られる!」など、批判されたり壁を作られたりしました。中には、Y氏を差し置いて裁く人までいました。(イエス様を信じ、抜けた私は、今相当の悪者になっているでしょう(^0^;))
こうして、Y氏から褒められた私は、調子に乗せられ、お墓参り用にいつも参っているお墓の分と併せ、観音カードを4セットも購入し、粗塩・御酒・洗米に「波動」をもらい、実家の母と新幹線内で待ち合わせ、墓のある四国へと向かいました。そして、ついに墓地のある駅に到着。「いざ、気合いで探すぞ!」と、改札を出て横断歩道を渡った途端・・・なんと、例の墓の場所をよく知る人物にバッタリ遭遇したのです!
あまりのグッドタイミングに、私も母も驚きました。何十年も会っていなかった人ですから、すごい奇跡でした。実は、いろいろあって気まずい関係になっていた人だったのですが、「元気にしよるん?」と、不思議なくらい和やかな会話ができ、アッサリ場所を聞くことができました。長時間の作業を覚悟していたのが、たった数分で済んだのです。「“Xの神様”はすごい! これは“本物”だ」・・・私がまた一歩「欺き街道」を進んだ瞬間でした。
墓地に着き、Y氏に言われた通り、墓の四隅と中央(線香立て)の部分を軽く掘り、そこに観音カード・塩・お神酒・洗米を入れ、土をかぶせ、その上に2本ずつ線香を立て、墓石を背にして太陽に向かって合掌しながら、「“神様”どうかこのお墓の地に、“神様”の波動を届け清めてください。鎮めてください」と約30分・・・線香の火が完全に消えるまで祈り続けました。
その後、墓石にも手を合わせて拝みました。まさに「ダブル偶像礼拝」の人生が、ここから約22年間続くこととなるのです。そして、墓参から帰って間もなく、私の仕事に変化が現れ始めました。それが「闇の計画」だとも知らず、私は「偽の繁栄」を喜ぶのでした・・・。 (つづく)
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