聖公会の世界的共同体であるアングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)は、スーダン聖公会がこの夏、独立した「管区」となることを発表した。スーダン聖公会はこれまで、「南スーダンおよびスーダン聖公会管区」の内部管区だった。
アングリカン・コミュニオン総主事のジョサイア・イドウ・ファーロン大主教は、この発表を、スーダンの聖公会信徒と、アングリカン・コミュニオンに属する世界の聖公会信徒とを結び付けるのに役立つ「喜ばしい展開」だと述べた。聖公会の霊的最高指導者である英国国教会のカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは、7月30日に、この新しい管区の発足の祝福のためにスーダンに向かうことになっている。
聖公会諮問評議会(ACC)の議長を務める香港聖公会のポール・クォン大主教は、今回の発表を喜び、「アングリカン・コミュニオンの39番目の管区の発足に対し、スーダン聖公会に心からのお祝いを送ります。新しい管区の誕生は、全世界の聖公会に属する教会に、喜びと高揚感をもたらすだけでなく、豊かさ、励まし、そして希望を与えくれます。私たちは、スーダン聖公会の皆さんと共に歩み、多くの人々を神の国に導く世の光として奉仕し、主の言葉によって多くの人々が救われるために働くことを心待ちにしています」との声明を発表した。
南スーダンが2011年にスーダンから独立したことで、南スーダンおよびスーダン聖公会の指導者であるダニエル・デング・ブル・ヤク大主教が、両国を監督する必要があった。同聖公会に所属する信徒は約450万人だが、その多くは主に南スーダンにいる。ヤク大主教は16年、内部管区のスーダン聖公会の正式な独立の認可をACCに申請。同年7月、ACC総主事らの訪問団が事実調査のために訪れ、スタッフの人数や財務状況、宣教目標、信徒数などを確認した。そして、スーダン聖公会を新しい管区として推薦する報告書が、決定機関であるACCに送られていた。
スーダンの首都ハルツームのエゼキエル・コンド大主教は、この知らせを聞き喜びを表した。「スーダンのキリスト教徒と全国民は、39番目の管区としてスーダン管区が発足するに際し、カンタベリー大主教のジャスティン・ウェルビー夫妻を迎えることをとても楽しみにしています。39という数は、39箇条の聖公会大綱や旧約聖書39巻とも一致します。このことにより、神の栄光と神の国の拡大のために、スーダンにある教会が強められることが私の祈りであり、希望なのです」
アングリカン・コミュニオン総主事のイドウ・ファーロン大主教は、「圧倒的にイスラム教徒が多い国で、聖公会の管区がもう1つできることは、喜ばしい展開です。このような状況下で、この管区がしっかりと立ち、キリストを宣(の)べ伝えることは大変意味深いことだと思います。スーダンがアングリカン・コミュニオンの独立した管区となることは、スーダンのキリスト教徒にとって利益となります。決して1人ではなく、全世界の聖公会に属する8500万人の家族の一員であることを知ることになるのです」と述べた。
「管区(Province)」は、カトリック教会や聖公会で用いられている、複数の教区からなる教会の行政単位。聖公会の世界的共同体であるアングリカン・コミュニオンは現在、38の管区と、半独立の小規模な6つの「特別管区(Extra-Provincial)」で構成されている。聖公会の管区は多くの場合、日本聖公会(日本管区)、大韓聖公会(韓国管区)などのように国家単位になっているが、カンタベリーとヨークの2つの管区がある英国国教会や、第1〜第8管区に分かれている米国聖公会などもある。