現在もイスラム過激派による脅威にさらされているイラクのキリスト教徒たちが生活を再建する手助けをしようと、イラクの教会が新しい計画を発表した。
英誌「カトリック・ヘラルド」(英語)によると、計画は、国内避難民となっているイラクのキリスト教徒たちが故郷に戻り、自分たちの村々を再建できるよう物質的に支援するもので、カルデア典礼カトリック教会のアルビル大司教バシャル・マッテ・ワルダが発表した。
この再建支援を主導するのは、カトリック系の慈善団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード(困窮している教会への支援)」(ACN)。ACNは、第2次世界大戦後に米国が行った大規模な欧州復興支援「マーシャル・プラン」になぞらえて、この再建計画を「イラクのためのマーシャル・プラン:ニネベ平原のキリスト教徒の村々の再建」(英語)と名付けている。イラク北部のニネベ平原は、かつて多くのキリスト教徒が居住していたが、過激派組織「イスラム国」(IS)によって占拠され、そのほとんどが国内や国外に避難していた。
昨年末にニネベ平原の村々の実態調査を行った、ACNの中東責任者であるアンジェイ・ハレンバ神父は、「何千もの被害の報告と、それらに関係する何千枚もの写真が、再建費用の見積もりと共に集められています」と語った。
「衛星写真の助けにより、われわれのチームはISから奪還されたニネベ平原にある各村の家々を確認しています。私たちが再建を考えているのは、シリア典礼カトリック教会やシリア正教会、カルデア典礼カトリック教会の人々が住んでいた村々、またこれらの教会の人々が混在して住んでいた村々です。現在、約10の村について検討しています」
ハレンバ神父によると、再建計画は、地域の委員会を組織したり、再建のための資金調達をしたりするなど、さまざまな分野にわたる。また、法的な問題の解決も必要だとして、イラクのキリスト教徒に対する完全な市民権を得ることや、復興にイラク政府が関わるようにすることなどについては、他の支援団体とも協力して進めていく考えだ。