聖書66巻の中で、あなたが最も好きな書巻はどれだろうか? もしかしたら聖書の中のある書巻を、他よりも「好き」などと考えることはよくないと思うかもしれない。しかし、誰でもお気に入りはあるものだ。あなたは、ドラマチックで戦争についても多く書かれている旧約聖書の歴史ドラマを好むだろうか。それとも、新約聖書の手紙に没頭するだろうか。福音書がよいだろうか、それとも預言書がお気に入りだろうか。
英国聖書協会は最近、調査を実施し、人々が好む聖書の書巻を明らかにしている。調査の結果は、あなたを驚かせるかもしれない。
1位:ヨハネによる福音書
ヨハネによる福音書は、数ある書巻の中でも際立っており、また、共観福音書であるマルコ、マタイ、ルカによる各福音書ともかなり異なっている。「わたしは」で始まるよく知られているイエスの言葉(6章48節「わたしは命のパンである」、14章6節「わたしは道であり、真理であり、命である」)や、創世記の序文とも重なる「初めに言(ことば)があった」(1章1節)という、イエスについての宇宙的な紹介で始まるところが、人々を魅了するのかもしれない。そして、3章16節「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」は、非常に有名な箇所だ。
2位:詩編
誰もが詩編を愛している。詩編は、聖書の中でも歌うことができる唯一の書巻だ。世界に広く普及し、今日の礼拝でも歌われている多くの賛美歌やワーシップソングが、詩編の言葉をそのまま取り入れている。中には、伝統的に賛美は詩編の言葉からのみ歌うという教会も存在する。詩編の中には、実際にはかなり挑戦を受ける内容のものもあるが、人生の試練の中において、豊かで多様な賛美の仕方を提供する。中でも最も人気があるのは23編だ。
主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない。
主はわたしを青草の原に休ませ
憩いの水のほとりに伴い
魂を生き返らせてくださる。
主は御名にふさわしく
わたしを正しい道に導かれる。(詩編23:1〜3)
3位:ルカによる福音書
マルコ、マタイによる各福音書も捨て難いが、ヨハネに次いでトップ5に入る他の福音書は、ルカによる福音書だ。ルカによる福音書は、ユニークな物語であふれている。この福音書がなければ、聖書の代表的な例え話である「善きサマリア人の例え」も「放蕩(ほうとう)息子の例え」も、広く知られることはなかったかもしれない。ルカによる福音書の最も有名な箇所は、イエスが会堂に入り、イザヤ書61章を朗読し、自分自身の使命について語る箇所ではないだろうか。
主の霊がわたしの上におられる。
貧しい人に福音を告げ知らせるために、
主がわたしに油を注がれたからである。
主がわたしを遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、
目の見えない人に視力の回復を告げ、
圧迫されている人を自由にし、
主の恵みの年を告げるためである。(ルカ4:18)
4位:ルツ記
ルツ記がランクインしていることに、驚く人もいるかもしれない。ルツ記は傑出した物語であり、女性が主人公というのもまた特徴的だ。これは、宗教や民族の境界線をどのように超越することができ、いかに神が神秘的な方法で働くことができるかを伝えてくれるラブストーリーだ。ルツ記は、結婚式でもよく使われる。最も有名なのは、次の箇所であろう。
わたしは、あなたの行かれる所に行き
お泊まりになる所に泊まります。
あなたの民はわたしの民
あなたの神はわたしの神。
あなたの亡くなる所でわたしも死に
そこに葬られたいのです。
死んでお別れするのならともかく、そのほかのことであなたを離れるようなことをしたなら、主よ、どうかわたしを幾重にも罰してください。(ルツ1:16、17)
5位:ローマの信徒への手紙
使徒パウロは、新約聖書において多くの素晴らしい書を著したが、その中でもこの書巻は、実に彼の最大のヒット作といえる。おそらく、福音を説明し解説する最も神学的に緻密な書巻であり、最も引用価値のある書巻の1つだ。この書巻の中で扱われているテーマを幾つか挙げるとすれば、創造、堕落、イスラエル、イエスによってもたらされた贖(あがな)い、イエスに対する信仰、御霊の内にある命、予定論、苦難などである。
また、ローマの信徒への手紙は、私たちに希望と慰めの最高の聖句を与えてくれる。
神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。(ローマ8:28)