水上でのキャロリング「クリスマスキャロリング・オン・ザ・ボート」が23日、東京ホープチャペル(東京都台東区)の聖歌隊によって行われた。川に鳴り響く「きよしこの夜」「もろびとこぞりて」などおなじみの賛美歌に、行き交う人たちも足を止め、その歌声に耳を傾け、クリスマスの喜びを分かち合った。
このユニークなキャロリングは、東京ホープチャペルが毎年12月に開催している「チャリティークリスマス・ゴスペルコンサート」のスポンサーになっている株式会社フローティングライフ社長の佐藤美穂さんが、「自社所有の『屋形船みづは』を使って、水上でのキャロリングをしてはどうか」という申し出を受けて企画されたもの。今年で3回目となる水上キャロリングは、街の風物詩ともなっている。
天候に恵まれたこの日、聖歌隊は浅草の吾妻橋船着場から乗船。船長もサンタクロース姿だ。船は発着所をスタートした後、神田川に入り、エキュート神田万世橋、和泉橋、霊岸橋を経て、フィナーレの日本橋まで約2時間のキャロリングの航行となった。12月にしては気温が高かったものの、さすがに川の上は寒く、次第に体は冷えていったが、川辺や橋の上から聞いてくれる人たちが、手を振ってくれたり、「メリークリスマス!」とあいさつしてくれると、暖かさが戻ってくる。
この日賛美したのは、「荒野の果てに」「きよしこの夜」「もろびとこぞりて」「牧人ひつじを」「神の御子は」、そして「ウイ・ウイッシュ・ユー・ア・メリークリスマス(We wish you a Merry Christmas)」の6曲。見る人も一緒に歌えるよう特大歌詞カードも用意された。ピアニカが最初に音を取り、指揮者に合わせて、男性3人、女性9人の聖歌隊は、最終地まで美しいパワーに満ちたハーモニーで歌い続けた。
その歌声につられるようにして、リバーサイドに顔を出す人、橋の上から手を振る人たち。中には、リズムを取りながら、一緒に歌う人の姿も見られた。キャロリングを終えた聖歌隊のメンバーたちは、こうした人たちと一体となり、一緒にクリスマスを祝えたことが本当にうれしかったと話す。また、橋の上で、笑顔で歌う人たちを見ることができてよかったと与えられた喜びを語った。今回初めて聖歌隊に加わった人もおり、「楽しめた。次回もぜひ参加したい」と感想を述べた。
到着地の日本橋では、東京ホープチャペルの西田育生牧師や、「クリスマスキャロリング・オン・ザ・ボート」実行委員で責任者の我妻茂樹さんら同教会員が、上陸した聖歌隊を笑顔で迎えた。
この水上キャロリングの主役でもある「屋形船みづは」は、普段は乗合船遊びとして活躍している。企画を提案したフローティングライフの佐藤さんも、船長のご主人と共に東京の水路を航行している。この日もキャロリングの後、一般の乗船に戻った。佐藤さんは、「このキャロリングは、いつも運行する川や橋への恩返しの気持ちで行っています。たくさんの人に来てもらえてよかった。来年もぜひ続けてやっていきたいです」と語った。
船に乗っていると、東京が水の街であることにあらためて気付かされる。隅田川を本流にした支流河川の水路にかかる幾つもの橋。その一つ一つをくぐり抜け、そのたびに現れる東京の景色は、地上では決して味わえないものがある。船上にいると、自然に地上にいる人に手を振りたくなる。出会う全ての人が、愛おしく思えてくる。イエスの恵みが、聖歌隊のメンバーと共にあると感じた水上でのキャロリングだった。