もうすぐクリスマスがやってくる。今年のクリスマスは、イブが土曜日、当日が日曜日という、一般社会にとってはクリスマスを「楽しむ」最高の暦となっている。
日本のクリスマスは、子どもたちと恋人同士のためにあるかのような「イベント」になっているが、最近では「クリスマスの雰囲気を楽しみたい」と教会へ足を運ぶ人もいるようだ。インターネットのさまざまなサイトでは、「クリスマスに行ってみたい教会」が特集されるなど、その注目の高さを伺うことができる。
しかし、「イベント」とはいえ、初めて教会に行く人にとっては、「教会って、いったい何をするところで、どうしたらいいの?」といった不安も多いだろう。
そこで、そんな「不安」や「疑問」に答えるべく、現役の牧師に話を聞いた。
インタビューに答えてくれたのは、純福音成田教会の妹尾光樹牧師。「多くの方々に、この時期、教会を訪れていただきたいですね。どなたでも、教会は歓迎しますよ」と話し、教会に初めて行くときの心得を話してくれた。
――今年は、クリスマスイブ、クリスマスが週末にぶつかり、教会を訪れる絶好の機会になりそうですね。
そうですね。普段の礼拝でも、どなたでも歓迎したいという姿勢は変わらないのですが、クリスマスは、教会に来たことのない方でも、訪ねやすい機会だと思います。この時期の教会は、ツリーがあったり、電飾をしていたり・・・ときれいですからね。イブのキャンドルサービスも幻想的で美しいですね。それに、クリスマス礼拝には聖餐式(キリストを覚えて、ぶどう酒とパンを裂いて食べる儀式)や洗礼式を執り行う教会も多く、「これぞ教会!」という「クリスチャン体験」ができる良い機会かもしれませんね。私たちにとっては当然のことなのですが、初めて見る方には、興味深い光景かもしれません。
――まず、教会に出掛けるときの服装を気にされる方がいると思いますが、これについてはいかがでしょうか?
何でもいいといえば何でもいいのですが、あまり華美なものは避けた方が無難だと思います。女性であれば、短すぎるスカートや肌の露出が多いものは避けた方がいいですね。必ずしもフォーマルである必要はないと思いますよ。教会に着いたら、たいていの教会には「式次第」(「週報」と呼ぶところも多い)のようなものがありますので、それをもらって、聖書や賛美歌は貸出用のものを借りてください。分厚い聖書は「新約聖書」「旧約聖書」が一緒になったもの、薄いものは「新約聖書」のみです。新旧約一緒のものを借りてください。
――クリスマスだけ、ちょっと「覗いてみたい」という方が、例えば「来会者カード」などを差し出されたときは、どうしたらいいのでしょう?
まず、差し出す教会側は、十分に配慮が必要ですね。ひと昔前のような日本ではありませんから。昔は、どこでも自分の住所や電話番号を書いて、それがどうなっているか・・・なんて、あまり気にする人はいませんでした。しかし、この情報社会の中で、「情報」はある意味、貴重ですが、危険も隣り合わせです。それを知っている、特に若い世代の人は、自分の情報を外に出すことに抵抗がある人もいるでしょう。「こちらで責任を持って管理します」とひと言添え、無理強いしないことですね。
差し出された方は、教会は個人情報を悪用したり、執拗に電話や訪問をしてきたり・・・ということはありませんので、安心していただきたいと思いますが、それでも、気が引ける方は遠慮なく「名前だけでいいですか?」など声を掛けていただければと思います。
――クリスマス礼拝、イブ礼拝とはどんなものでしょう?
これは、各教会、それぞれの特色があるといってよいでしょう。賛美(神様に感謝をささげる歌)、説教(聖書のお話)などがメーンですね。著名な音楽家や説教者を招く教会もあります。クリスマスの賛美は、ショッピングモールでもテレビからでも流れている、皆さんになじみのある曲も多いのです。「あっ、この曲聴いたことがある!」と思ったら、皆さんと一緒に歌ってみてください。分からない曲があっても、何も引け目を感じたり、恥ずかしいと思ったりする必要はありません。静かに賛美歌に耳を傾けるのもよいですね。パイプオルガンや大きなグランドピアノがある教会もありますし、逆にロックバンドのようにギターやドラムなどで賛美をする教会もあります。
クリスマスの説教は、牧師が聖書の話を分かりやすく「解説」する時間です。特にクリスマスの礼拝には、信徒以外の方々が礼拝に来ていることをよく知っていますから、分かりやすい話をしてくださいます。
お祈りの時は、皆、目をつぶって、手を前で軽く組みます。「いつ終わるの? もう目を開けてもいいの?」と思うかもしれませんが、最後に皆で「アーメン」と言ったら、お祈りはおしまいです。「アーメン」とは、「同意します」とか「その通りです」という意味です。お祈りに心を合わせていただけたら、「アーメン」と言ってみてください。プロテスタントの教会では、手で十字を切ることはありません。
――聖餐式の時は、どうしたらいいでしょう?
聖餐式は、イエス・キリストを救い主として受け入れた方々のための大切な時間です。聖餐にあずかれるのは、受洗した(洗礼を受けた)信徒です。パンをキリストの御体として、これを裂いて、信徒一人一人が少しずつ口にしたり、ぶどう酒(ぶどうジュースを使用する教会もあります)をイエス様が私たちのためにかかってくださった十字架上の血潮として、皆でいただくのです。こうすることによって、それを覚え、キリストを受け入れたものとして、あらためて襟を正すというか、感謝するのですね。ちょっと軽食を食べる・・・といった意味合いのものではなく、聖書の教えに基づくものですので、受洗されていない方はお控えください。パンやぶどう汁(ぶどう酒)が回ってきたら、軽く会釈をして隣の方に回していただければと思います。ほんの少しの時間ですので、「教会見学ツアー」の一環として、見学していただければと思います。普段、あまり見ない光景ですからね。
――教会に初めて行く方が気になること、ナンバーワンは「献金」のようですが、これについては相場などありますか?
説明が難しいですよね。献金は「募金」とも「お布施」とも違うのですね。「人」にささげるのではなく、「神」にささげるものです。「参加費」でもないので、強制ではありません。ご用意がなければ、遠慮なく箱を隣の方へお回しください。もし、献金をおささげしたいと感じたら、必要に応じておささげいただければと思います。千円を基準に考える方が多いように感じますが、これもそれぞれです。500円の方もいれば、300円、100円の方もいるでしょう。逆に数万円の献金をされる方もいます。教会によっては、封筒を用意しているところもありますので、その中に入れて、献金箱へ入れてください。封筒は無記名でも結構です。ちなみに、「お賽銭」とは違いますので、縁起の良い数字はありません(笑)
――礼拝後、牧師に話し掛けてもよいのですか?
もちろん。礼拝が終わって時間があれば、牧師はむしろ声を掛けられるのを待っているときもあります。特に新しい方と話すのをとても楽しみにしているのですよ。以前、クリスマスにみえた方で、ご自分が犯した罪を本当に悔やんでいらっしゃる方がいました。その方は、大変苦しんでおられましたが、後日、しっかりと時間をとってお話を聞いてさしあげたら、とても喜んでいらっしゃいましたね。それっきりいらっしゃいませんが、私は、それはそれでよいと思っているのです。
――カルト教会もあるので、その辺りも注意喚起したいところですが、見分けるポイントなどはありますか?
そうですね・・・。まず、イエス様を救い主としていないところはアウトですよね。「自分がキリストだ」と教祖なり、牧師をイエス様以上に崇拝しているとか、聖書以外の書物を聖書と同等に「バイブル」としているところは、非常に危険です。三位一体を信じていない教会も危険ですね。
――「洗脳」されるのでは・・・と思う方もいらっしゃるようですが・・・。
教会は、その方の意思に反することを強要することはありません。「強要」を感じたら、どこか別の教会の牧師に相談することです。
――これだけはやってはいけない・・・ということは?
教会でやってはいけないこと・・・。特にないと思いますが、例えば泥酔状態で礼拝にいらっしゃるのは、よろしくないですね。それから、私にも実は経験があるのですが、教会で「喫煙所」や灰皿を探す方が時々いらっしゃいます。実は、私もクリスチャンになる前にはタバコを吸っていたのですよ(笑)
教会内での喫煙はご遠慮くださいね。しかし聖人君子の集まりが教会ではありません。いろいろな方がいらっしゃいますから、あまりいろいろ考えず、地域の「無料イベント」にでも行くようなつもりで来ていただければと思いますよ。
――教会へ初めていく方々にひと言。
初めて経験することも多いと思います。しかし、クリスマスをともに喜び、楽しんでいただければよいのではと思います。また、1年の終わりでもありますから、今年1年を振り返ったり、反省したり、感謝する時間にされてもよいと思いますよ。できたら、「教会に行ってみよう」と決めたら、インターネットなどで情報を見ておくことをお勧めします。駐車場があるかないかなどの基本情報から、牧師のいる「プロテスタント」の教会なのか、神父がいる「カトリック」の教会なのかくらいは分かると思います。礼拝の時間やキャンドルサービスの有無なども調べてから行かれてください。キャンドルサービスは、実施しない教会もありますので、ご注意を。どうぞ、素敵なクリスマスをお過ごしください。メリークリスマス!
純福音成田教会のクリスマスは12月25日(日)午前11時から。クリスマスイブのキャンドルサービスは行わない。詳しくは同教会(0476・33・6015)。