さまざまな映画を世に送り出しているワーナー・ブラザース。同社に46年間勤務、最近では「聖書で読み解く映画カフェ」でおなじみの小川政弘さんが、国際支援プロジェクトを展開している。
小川さんが支援しているのは、「迫害」「自然災害」「貧困」にあえぐパキスタンの教会と貧困層が多い地域の中学校だ。
2008年にワーナー・ブラザースを退職した小川さんは、3年ほど休養した後、2011年ごろからインターネット伝道に興味を持ち始め、フェイスブックやブログなどを開設した。同社に勤務していた頃は、翻訳の仕事もしていたことから、フェイスブック上でクリスチャンの偉人や先人の英語の言葉を和訳して載せてみたところ、周辺の知人や友人を中心に反響があった。少しずつ友人が増えていき、現在では1500人ほどの友人とつながっているのだという。
フェイスブックを開設して半年が過ぎた頃、パキスタンからポール・シャヒド牧師とクリスチャンの中学校教師ソハイル・サミュエルさんの2人から友人申請があった。彼らと話をしているうち、パキスタンのクリスチャンが置かれている状況、苦悩を知るようになった。
シャヒド牧師の教会には、100人以上が集っているのではないかと小川さんは推測するが、信徒たちが迫害を受けている様子を度々耳にするという。「パキスタン国内では、日本と同じくクリスチャンはマイノリティーなのです。しかし、状況は全く違う。私たちは、マイノリティーとはいえ、迫害されることはありません。パキスタンでは、教会の中で、ある家族が迫害を受け、苦しんでいても、『次は自分かもしれない』と、教会員同士でもなかなか助け合うことができないそうです」と話す。こうしたことを、インターネットを通して見聞きしているうちに、「何か自分にできることがあれば助けてあげたい」と思うようになったという。
主にクリスチャンたちの支援と貧困層への支援を、シャヒド牧師を通して行い、教育支援、とりわけ教育を受けることができない女子への支援を、ソハイルさんを通して行っている。
ソハイルさんは、「この国の貧困の連鎖を断ち切りたい」と訴えている。貧富の差が激しいパキスタンでは、貧しい家庭に生まれた子は、教育を受ける機会がなく、中学校以上は進学できないのが常だという。当然、高収入が望める職に就くことなく、貧しい生活から抜け出すことはできないのだ。
今までに、ソハイルさんを通して、中学校には、大きいものでコピー機、停電用自家発電機、貯水タンクなどを贈った。このコピー機で、子どもたちのテスト用紙を印刷することができる。またパキスタンでは、天候やその他さまざまな事情で頻繁に停電が起こる。そのたびに、40度をはるかに超える教室では、蒸し風呂のような状況になり、子どもたちの体力を奪う。停電用の自家発電機を設置したおかげで、子どもたちには、扇風機で涼しい風を送ることができている。こうした大きい物の他、文房具や聖書なども現地で買えるよう送金しているという。
一方、シャヒド牧師を通して行う支援は、主に教会でのイベントや教会の周辺に住む子どもたちへ向けたものだ。イースター、サマーキャンプ、クリスマスなどの行事を周辺地域に住む子どもたちにも楽しんでもらい、「キリストの愛を伝えたい」と話すシャヒド牧師の助けになっている。昨年のクリスマスには、毛布を購入するお金を送った。また、母親を亡くし、麻薬中毒の父親を持つ幼い兄妹たちの生活を助けるべく「緊急支援」を呼び掛けたこともあった。
これも全ては、「イエス様のため」と小川さんは言う。もともと、国際支援に特別興味や関心があったわけではないが、「映画を見るときの想像力」がここでも大きく働いたのだ。
「実際には見たことがない場所、経験したことのない状況をリアルに表現するのが映画。それに感情移入して、感動したり、思いを馳せたりするのが、映画の面白さですね。こうした支援も同じだと思うのです。見たことはないけれど、40度を超える教室で子どもたちが勉強することがどれだけつらいことか。幼い子どもたちが、両親がいなくなって、国が保護もしない、家賃が払えないから家を追い出される・・・。この子どもたちはどうなってしまうのでしょう? 想像すれば、それがどんなに過酷なことか分かりますよね。皆さんにも想像していただきたいのです。映画を見るように、彼らの状況に喜怒哀楽を感じてほしい」と小川さんは話す。
「このプロジェクトを通して、喜怒哀楽のどんな感情を抱きますか?」と尋ねると、「『哀』という感情は言うまでもないと思いますが、それと同時に『怒』も感じますね。子どもたちをこんな状況に置いているパキスタン政府、もちろん私たちを含む国際社会も責任はありますよね。しかし、コピー機を贈ったとき、うれしそうな顔をして機械の隣でほほ笑むソハイルさんを見たとき、扇風機の下、キラキラした目をして笑顔を見せる子どもたちの顔を見たとき、『喜』を感じ、『楽』を感じますね」と答えた。
映画の専門家である小川さんの想像力は、パキスタンに住む子どもたちにも向けられた。その子どもたちのことを思うとき、小川さんには次の御言葉が頭をよぎるのだという。
「はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ25:40)
現在、シャヒド牧師が教会で行うクリスマスイベントや、ソハイルさんが学校で子どもたちに配るプレゼントを購入する資金を緊急募集している。募集は19日まで。なお、物品などの受け付けはしていない。
「千円でも2千円でも、おささげいただければ、全額、案分してシャヒド牧師とソハイルさんの口座に振り込みます。クリスマスの様子は、イベント後、シャヒド牧師から送ってくる写真で見ることができます。私のブログやフェイスブックでも公開しますので、ぜひご覧ください」と小川さんは話す。
献金の方法は以下の通り。また、詳細は小川政弘さんのブログを参照。
ご献金は、以下の郵便振替口座宛てに、2通りの方法があります。
① 振込用紙にてATMからご送金(恐れ入りますが、振込料基本80円もご負担ください)
② ご自分のゆうちょ口座をお持ちの方は、直接ATMからご送金(送料無料)。その時は、下記の献金先指定はお任せいただくか、「お問い合わせ」からメールにて指定先をお知らせください。金融機関:ゆうちょ銀行(総合口座)
口座名:記号10050 番号79543671
名義人:小川政弘(オガワマサヒロ)献金先:お手数ですが、次の4つの献金先のいずれか(複数可)と、複数の場合は金額も摘要欄にお書きください。
《例》
貧困 ¥1,000
迫害 ¥1,000
計 ¥2,000
(特にご指定がない場合は、適宜分配させていただきます。)● 貧困女子自立支援(略記:貧困)
● 迫害・テロ被害者支援(略記:迫害またはテロ)
● ウルドゥー語聖書贈呈資金(略記:聖書)
● 洪水・地震被災者支援(略記:洪水または地震)