キリスト教や仏教などの宗教者が作る平和運動団体「宗教者九条の和」(東京都渋谷区)は13日付で、「南スーダンPKOに参加している自衛隊員を直ちに撤退させよう」と題する緊急アピールを発表した。
同団体はその中で、南スーダンの人権問題を調査する国連の委員会が、国内各地で大虐殺に発展する恐れがある不穏な動きを警告していることに言及。「すでに首都ジュバを訪れた国連のアダマ・ディエン事務総長特別顧問は、先月11日の記者会見で、『ルワンダを思い起こさせる』と述べ、大虐殺の兆候を指摘」していると記している。
その上で、政府が12月2日、南スーダンで駆けつけ警護を実施した自衛隊員の職務執行中の死亡・障害などに見舞金として支払われる弔慰金の最高額を現行の6千万円から9千万円に引き上げるための政令の改正案を示し、6日閣議決定したことは、稲田防衛大臣が繰り返し「新たなリスクが高まるということではない」と説明し、安倍首相も「比較的安定している」から派遣すると言っていることと「全く矛盾しているではありませんか」と指摘している。
また、「危険きわまりない状況を承知の上で」、12月12日から「駆け付け警護」実施可能と発令していることは、「まるで早く犠牲者が出るのを待っているかのようです。政府の内部から、国の殉死者を靖国神社に新英霊として祀(まつ)りたい、という意向が漏れてきています」と述べ、「『護国の英霊』という悪夢をよみがえらせてはいけません。宗教者としてこれは絶対に許すわけにはいきません」と主張している。
「あの戦争を止められなかった反省から、私たち日本の宗教者は、平和憲法を守ることを良心の要(かなめ)として、戦後、信徒と共に歩んできました。今、その灯りが消されようとしています。見のがすことはできません」と同団体は述べ、「自衛隊員も同胞です。1人でも犠牲になれば、それが前例となり、既成事実となって、『護国の戦争』が始まってしまうのです。事件・事故が起こる前に、直ちに南スーダンから自衛隊を撤退させましょう。安倍首相は先月の国会で、『撤収を躊躇(ちゅうちょ)することはない』と言明しています。躊躇せず撤退させましょう」と訴えている。
「まだまだ日本の平和的貢献の機会は数多くあります。武器を持たない日本の国際的平和維持活動を南スーダンでどう展開するか、戦地である南スーダンから自衛隊を撤退させ、国民全員で真剣に話し合いましょう」と同団体は続けてアピールし、「宗教者・信徒は、今すぐ街頭に立ち、祈り行動し、自衛隊員の命を守ってまいりましょう。力を尽くしましょう」と結んでいる。