日本カトリック正義と平和協議会は21日、安倍晋三内閣総理大臣と稲田朋美防衛大臣宛てに、自衛隊南スーダン派遣に関する要望書を提出した。
同協議会の会長である勝谷太治司教の名前によるこの要望書で、同協議会は、安全保障関連法に基づいて駆けつけ警護の任務を付与された自衛隊の部隊が南スーダンに派遣され、ジュバ周辺で活動を開始することになったことに言及している。
その上で、「政府は『PKO参加5原則』の遵守と、南スーダンが比較的安定していることを表明していますが、国連潘基文事務総長は『不安定な状態が続いている』と報告し、防衛省作成の『現地状況報告』は秘密保護法によって知ることができません」と指摘している。
また、同協議会は、安倍首相や稲田防衛大臣が南スーダン派遣の目的として説明する「国際貢献」という言葉について、「南スーダンでの国際貢献とは、もはや自国の力では維持しきれなくなった治安を国際協力によって鎮静させ、紛争の犠牲者を一人でも少なくすることです。そのためにできることは何かを考え、行動することが必要です。政府の言うようにジュバが比較的安定しているのであれば、あえて武器使用を可能にする必要はありません」と主張している。
「このことから、今回の自衛隊の派遣には、南スーダンの安定とは別に、安全保障関連法を行使する意図が感じられます」と同協議会はこの要望書で述べ、「私たちは、武力によって現地の政情が鎮静化するなどとは、信じていません。自衛隊の手に握らされている武器が本当に南スーダンの平和の為に役立つとも、信じていません。日本政府には現地で紛争に苦しむ人々のために働く平和団体を支援することによって、紛争を解決し、和解を実現するよう働きかけることを期待します」と続けている。
そして同協議会は、「安全保障関連法は、日本国憲法、ひいては立憲制を破壊する法律です。自衛隊は軍隊ではありません。自衛隊は憲法9条に抵触しない範囲で、国内での活動に徹するべきです。私たちは日本政府に、自衛隊を南スーダンから撤退させるよう求めます」と結んでいる。