南スーダンの首都ジュバのカトリック大司教は27日、ローマ教皇フランシスコが、激しい内戦によって荒廃した同国を訪問したいと同大司教らに語ったと述べた。バチカン放送局(英語版)が同日報じた。
ジュバのパオリノ・ルクドゥ・ロロ大司教は、南スーダンのキリスト教指導者の代表団が教皇フランシスコに謁見(えっけん)した際、南スーダンにおける悲惨な状況が教皇に説明されたと述べた。代表団には、ルクドゥ・ロロ大司教の他、スーダン聖公会(聖公会南スーダンおよびスーダン管区)首座主教のダニエル・デング・ブル・ヤク大主教、南スーダン長老教会議長のピーター・ガイ・ルアル・マロウ牧師らが含まれていた。
世界で最も若い国である南スーダンでは、サルバ・キール大統領に忠実な政府軍と、リエク・マシャール前副大統領を支持する反政府軍の間で、残忍な内戦が再び起こり、ここ数カ月間にわたって続いている。
ルクドゥ・ロロ大司教によると、教皇と謁見したキリスト教指導者らは皆、南スーダンの内戦や殺りく、難民、同国内に広がる恐怖について語り、南スーダンへの訪問を教皇に訴えたという。そして、教皇は彼らの苦しみに寄り添っていると答え、南スーダンを訪問したいと2回も繰り返したという。
ルクドゥ・ロロ大司教はまた、バチカン放送局のクリストファー・ウェルズ記者に対し、南スーダンは人道支援、そして国際社会の注意と配慮を緊急に必要としいると話し、南スーダン国民が直面する危機的な状況について、教皇や他のキリスト教指導者たちが意識の向上を助けてくれるよう望むと語った。
以下は、南スーダンのキリスト教指導者らと教皇の会談に関するバチカン放送局の公式声明(英訳)を、本紙が日本語に訳したものである。
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本日、バチカン宮殿において、教皇フランシスコは南スーダンの主なキリスト教指導者たちによる謁見を受けた。すなわち、ジュバのパオリノ・ルクドゥ・ロロ大司教(コンボーニ修道会)、聖公会南スーダンおよびスーダン管区のダニエル・デング・ブル・ヤク大主教、そして南スーダン長老教会議長のピーター・ガイ・ルアル・マロウ牧師である。
南スーダンの共存を損ない、国民を分断している緊張関係の文脈において、教皇との会談では、キリスト教諸教会の間で良き実りある協力が存在しており、それらの教会が共通の善を促進することや、人の尊厳を守ること、助けのない人たちを守ること、そして対話と和解のための計画を実施することへの貢献を主に申し出たいとしていることが認識された。カトリック教会の中で「いつくしみの特別聖年」が進められていることに鑑みて、他者への赦(ゆる)しと受容の根本的な体験が、平和構築や人間開発・社会開発への光栄ある道であることが強調された。この点において、さまざまなキリスト教会が、信仰を共にする一致の精神で、国民に奉仕し、出会いと分かち合いの文化の普及を促進する責務を負っていることが確認された。
最後に、全ての当事者たちが、それぞれの宗教的伝統に内在する積極的な価値から引き出して、安全な生活とより良い未来を切実に渇望する、国民の最も深い念願に対して、彼らが効果的に応えるための道を示すことができるという信念のうちに進み、共に旅をし、新たな希望と互いの信頼をもって働く意向を繰り返し述べた。