先日、ある方からジョン・ウェスレーとはどのような神学を教えた人ですか、という質問をいただきました。一応お答えをしたものの、十分ではなかったと思いましたから、このコラムで少し取り上げてみたいと思います。
まず、ジョン・ウェスレーは18世紀の英国国教会の司祭で、その後メソジスト運動と呼ばれる信仰覚醒運動を指導した人であります。この運動から生じたのがメソジスト派というプロテスタント教会であり、米国・欧州、アジアで大きな勢力を持つに至りました。特に米国ではプロテスタント系で信徒数第2の教派であります。
それで、ウェスレーがどんなことを教えたのかということですが、まず第1に「救いの確信」ということでした。人はイエス・キリストを信じることによって、今、イエス・キリストに自分が救われているという確信を持つことができるということです。
自分を鍛錬して、人格的に優れた人になれば、いつかキリストが自分を救ってくれるだろう、という淡い期待をしているのがクリスチャンではない。キリストの十字架の贖(あがな)いの血潮によって、他でもないこの罪深い自分が、ただ信仰によって神の赦(ゆる)しをいただいて、今現在、神の子どもとされている。この確信に立つことができるのが聖書的クリスチャンである、と教えてくれました。
いつか将来に救われるであろう、というのではなくて、「今、ここで」救いの確信を持つことができるとはっきりと教えてくれました。聖霊がその確信を私たちの魂の深みに与えてくれるということです。
さらには、「聖化」は「義認」から始まるということを明確にしてくれました。言い換えれば、神の救いを確信してからのクリスチャンの生涯は、キリストの御姿に似せて造り変えられる旅路であるということです。「聖化」が「義認」の後から始まると明確に教えたことがウェスレーの大きな貢献であったと思われます。
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