韓国宗教平和国際事業団(IPCR)と韓国宗教人平和会議(KCRP)は2日から4日まで3日間にわたって、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会との共催により、立正佼成会横浜普門館(神奈川県横浜市)9階特別会議室で、「東北アジア平和共同体構築のための課題」をテーマにIPCR国際セミナー2016を開催した。
初日に行われた開会セッションでは、WCRP日本委員会会長の庭野日鑛(にちこう)氏が開会あいさつを行い、中国仏教協会副会長のヤンジュ法師、KCRP事務総長のキム・グワンジュン氏(大韓聖公会司祭)が謝辞を述べた。続いて、同委員会平和研究所所長の山崎龍明氏(武蔵野大学名誉教授)による進行の下で、同委員会理事の植松誠氏(日本聖公会首座主教、日本宗教連盟理事長)が基調発題を行った。
その中で植松氏は、韓国や中国、日本から参加した約80人の仏教徒やキリスト教徒、イスラム教徒、儒教徒などに対し、「私自身、1人の平和への巡礼者として、自分のこれまでの歩みを振り返りながら、韓国、中国、日本の宗教者たちの取り得る平和への歩み方を考えてみたい」と語った。植松氏はこのセミナーのテーマに触れ、「私自身は、その平和共同体構築に携わるためには、まず、自分自身がどのような平和を求めて生きる存在であるべきかを考えなくてはならないと思うのです」などと述べた。
北海道教区主教である植松氏は、自らが米国の教会で出会ったロバートという名前の元日本軍捕虜や、太平洋戦争中に日本軍が宣教師13人を殺したパプア・ニューギニア聖公会との和解、パレスチナで苦難の中にいる人々との交わり、戦争中に日本統治下にあった韓国の大韓聖公会と日本聖公会の和解への歩み、戦時中に多くの中国人や朝鮮半島からの人々を連行してきて強制労働をさせたという北海道の歴史に言及した。
その上で、「平和共同体の構築は、人と人との関係性の中で考えなくてはならない」と語り、「中国、韓国との平和構築においても、私たちは話し合いや議論の重要性は認めながらも、そこに生きている人との関係性を築くことからまず始めたいと思うのです」と述べた。
植松氏は、「特に、私たち宗教者は、一人一人が神仏によってかけがえのない命をいただいていることを知っている者として、その命と命が結ばれるところに神仏の祝福があり、私たちは、その関係性の中で起こる喜びや悲しみ、希望と失望を尊いものとしてそのまま受け取り、そこから相互理解の中で、相手を尊い者として感謝し、祝福し合う者に変えられていくのではないでしょうか」と問い掛けた。