カトリック教会は12日、教会内における性的虐待を根絶するため、新しく叙階された司教たちを性的虐待の扱い方に関するトレーニングに参加させると発表した。
ローマ教皇フランシスコが設置した性的虐待問題に関する諮問委員会「教皇庁未成年保護委員会」の委員たちが、このトレーニングを実施することになる。教皇フランシスコは就任以来、この問題に関しては厳しい態度で臨んできた。
近年、聖職者による性的虐待に関する多くの告発がカトリック教会に対してなされている。それに対して、バチカン(ローマ教皇庁)は2014年、過去10年間にほぼ850人の司祭が聖職を離れたことを認めた。
教皇フランシスコは聖職者の虐待行為について、「耐えられない」とし、「想像しうる中で最も恐ろしく汚れた行為」だとして非難。数回にわたって被害者と面会している。
同委は、聖職者と信徒の専門家らで構成され、女性も含まれており、教会の権力機構の中で十分に機能できるように努めている。
カトリック教会では、新しい教会指導者たちのための、いわゆる「ベビー・ビショップ(新人司教)」コースを教えていたフランス人モンシニョール(高位聖職者)、トニー・アナトレラ氏が、行政当局に対し虐待を必ずしも報告する必要はないと言って物議をかもしたことがある。同委の設置は、アナトレラ氏の発言の後に決まった。
アナトレラ氏は後に、司教には虐待があれば行政当局に報告する「道徳的、倫理的責任」があると述べている同委員長の米ボストン大司教ショーン・オマリー枢機卿から非難されている。
性的虐待が最初に全世界的に明らかになったのは、01年、米ボストンでの出来事だった。当時、略奪的小児愛者だとされる司祭らが、聖職をはく奪されたり警察に引き渡されたりするのではなく、教区から教区へと異動させられていた。
教皇フランシスコは、司祭たちによる児童虐待を悪魔崇拝に例え、ゼロ・トレランス方式で臨むと宣言し、14年に同委を設置した。事務所を構えて1年後に、同委は教皇に教会内で起こった性的虐待を根絶する方法を進言した。
しかし、委員たちの中には、バチカンでの変革のスピードが遅いことに不満を抱く者もいる。批判したある英国人の委員は、同委が教皇に対し不信任決議を手渡した後、休暇を命ぜられた。
英国の虐待被害者のための全国組織であるNAPAC(National Association for People Abused in Childhood)のピーター・サンダース会長は、自身も子どもの時に2人の司祭から虐待された経験を持っている。サンダース氏は同委に対して、提言書の域に留まらず、個々のケースについても直言することを要望した。
同委は9月初めに会合を持ち、アナトレラ氏が昨年扱った司教たちを含め、新人司教たちのためにバチカンで行われる2つのコースに、委員会として参加することを決議した。