【CJC=東京】教皇フランシスコは、性的虐待を報告しない司教について解任もあり得ると明らかにした。
教皇は4日、児童や弱者の立場にある成人に対する性的虐待の事例を報告しなかった司教は解任の対象になる可能性があるとする考えを書簡で示した。
教皇は、教会法に基づき、違反行為などの深刻な理由があった司教は排除できると説明した。その理由の最たるものは、性的虐待の報告をしなかったことだと明らかにした。「未成年者や弱者の成人への虐待は、深刻な思いやりの欠如」ともしている。
性的虐待の事例を報告しなかった司教らに対してはバチカン(ローマ教皇庁)当局者が解任できる司法権を有していると指摘、該当司教らに辞任を促したり、解任の裁定を公にできたりするが、最終決定はあくまで教皇にあるとし、この決定を下す上で助言を求める法律専門家のパネルを設置したことを明らかにした。
カトリック教会では過去に、聖職者らによる大規模な性的虐待問題が発覚したものの、司教らの説明責任が不十分だとして批判を受けていた。虐待の被害者の家族らは、性的虐待を隠してきた司教の責任を追及するようバチカンに求めてきた。
バチカンは昨年6月、性的虐待の隠蔽(いんぺい)など「聖職乱用」の罪に問われた司教を裁く法廷を新設すると発表したが、今なお実現していない。バチカン内部の抗争が原因と見る向きもある。