バチカン(ローマ教皇庁)が叙階した浙江(せっこう)省温州市のペトロ・シャオ・ズーミン協働司教が、中国当局に認可されていないという理由で「逮捕」された。
中国政府は長い間、当局によって認められた司教のみに、司教として働くことを許可してきた。たとえ教皇庁が公式に叙階した司教であっても、例外ではなかった。
カトリック系通信社「アジア・ニュース」の8日付の記事によると、温州教区は、7日に死去した同教区の故ビンセント・ズー・ウェイファン司教の葬儀の用意をしていた。温州市のキリスト教徒たちは、ズー氏が亡くなる直前にシャオ氏が捕らえられたこと、そして当局の狙いはシャオ氏がズー氏の葬儀の司式を行い、教区を引き継ぐことを妨げることだと話している。
シャオ氏は、警察によって中国北西部へ「旅行」に行かされたとされている。消息筋によると、シャオ氏と同じく中国政府非公認の司祭であり、シャオ氏の秘書でもあるパウロ・ジアン・スニアン氏も警察によって雲南省に連行された。
同消息筋は、「その司教と司祭が温州市から連れ去られたのは、シャオ氏が温州市の司教の地位を継承するのを妨げるためです」と述べた。
当局は、ズー氏の葬儀中に約400人が聖体拝領することを許可しているが、地下教会のメンバーは参列を禁じられた。
温州市には、中国の他の場所と同じく、公認、非公認の両方のカトリック教会がある。中国共産党は、党のルールに基づき、キリスト教徒に礼拝することを許可しているが、教会で役職を得るのは、ローマ教皇庁の決定よりむしろ、党の認可次第であるとしている。
報道によると、ズー氏は、公認、非公認のカトリック教会間に和解をもたらすため、司教として叙階された。しかし、当局は両者を区別し続け、非公認の教会の教会員たちに対しては罰則を与え続けた。カトリック系のCNS通信は、ズー氏が文化大革命の間、「労働改造」を目的とした強制収容所に16年間収容され、強制労働を強いられたこと、また1982年~88年にも投獄されていたことを伝えている。
温州市にはカトリック信徒が12万人いるとされており、その教会の数の多さから、「中国のエルサレム」とも呼ばれている。
温州市の教会は、政府が主導する中国全土に及ぶ教会破壊作戦の一環として、他の省の教会と共に標的にされている。政府は、教会の屋根の上にある十字架を取り払い、時には教会自体を閉鎖している。中国政府によるこの組織的な作戦は、キリスト教徒の抗議とキリスト教徒との衝突を引き起こし、これまでに何百人もの信者、人権擁護家、司祭たちが逮捕されている。
また、中国では政府が任命したプロテスタントの大型教会の牧師たちさえ逮捕されている。杭州市の杭州基督教会崇一堂の主任牧師、ヨセフ・グ・ユエセ氏は今年、教会への厳しい弾圧を非難したために逮捕された。
中国のキリスト教徒に対する迫害を監視している「チャイナエイド」の創立者であり、代表であるボブ・フー氏は今年2月、クリスチャンポストに対し、「政府の上層部は中国でキリスト教信仰が急激に成長し、その存在感が増大し、社会的な影響力を増していることに対して、徐々に不安を感じてきているのです」「中国共産党は、中国でキリスト教徒の数が共産党員の数をはるかに上回っているために、政治的な恐れを感じているのです」と述べている。