教会の宣教は、環境とどのような関係があるのか? ローザンヌ・世界福音同盟(WEA)のクリエーションケア(被造物保護)・ネットワークから出た新刊書が、このやっかいな問題に取り組んでいる。WEAが公式サイトで17日、伝えた。
ローザンヌ運動のケープタウン決意表明(2010年)は、被造物の保護を「キリストの支配のうちにおける福音の問題」として肯定している。これが教会にとって何を意味するのかを探求する第一歩として、12年にジャマイカで国際会議が開催され、各界から気鋭の福音派の思想家たちが集まった。23カ国から集まった彼らは、まず最も重要な環境問題を特定し、これらが教会の宣教とどう関わるのかを探った。
その結果、出版されたのが、本書『Creation Care and the Gospel: Reconsidering the Mission of the Church(被造物保護と福音―教会の使命を再考する)』(英語)だ。本書では、聖書学者や神学者、生物学者、環境問題の研究者、そして共同体の組織者たちの働きをまとめている。それは、気候変動や都市化、人口の増大といった問題を真正面から見るとともに、世界中のさまざまな事例研究を特色としている。寄稿者には、ロンドン大学元教授の遺伝子学者であるサム・ベリー教授、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の共同議長を務めたジョン・ホートン卿、そして、キリスト教精神に立った国際的な環境団体「ア・ロシャ」の指導者たちが含まれている。
序章では、ローザンヌ運動で被造物保護のための働きをしているエド・ブラウン牧師が、本書が二つの中核的な確信に駆り立てられていると説明している。一つ目は「被造物保護が実に福音の問題だ」ということ。そして二つ目は、私たちが「差し迫った、緊急の、そして私たちの世代のうちに解決しなくてはならない危機に直面している」ということである。「私たちの祈りは、本書が地球規模の被造物保護運動について知らせ、そしてそれが私たちの極めて重要な務めに加わるよう、多くの教会指導者や牧師、教育者、そして宣教師たちを促すようにということです」とブラウン氏は述べた。
ローザンヌ運動の最も新しい書籍である本書は、新しいシリーズの最初を飾る書でもある。「向こう何年かにわたる私たちの計画は、ケープタウン決意表明から導き出される地球規模の重要性を持つ主要な諸問題を探求することです」と、ローザンヌ運動出版部長のジュリア・キャメロン氏は言う。「私たちの特徴は、思想家や作家、そして思慮深い実践家といった専門家たちを、世界中から集めるということなのです」
ローザンヌ運動:1974年にスイス・ローザンヌで、ビリー・グラハム牧師の呼び掛けによって開かれた「ローザンヌ世界宣教会議」に端を発する運動。同会議では、英国の神学者、ジョン・ストット氏を中心に起草された「ローザンヌ誓約」を採択した。2010年10月には、南アフリカ・ケープタウンで第3回会議が開かれ、198カ国から約4千人のキリスト教指導者が集まった。ケープタウン決意表明は、この運動の現在の活動の青写真としての役目を担っている。
コリン・ベル、ロバート・S・ホワイト編『Creation Care and the Gospel: Reconsidering the Mission of the Church(被造物保護と福音―教会の使命を再考する)』、ヘンドリクソン出版、350ページ、英文、ISBN:978-1619707252、29・95ドル