上智大学グリーフケア研究所と龍谷大学人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センターは5月から、グリーフケア公開講座「悲しみを生き抜く力」を開講する。両大学は、東日本大震災の後、被災地などで心の苦しみを抱えた人に宗教の面から寄り添うための「臨床宗教師」の制度や教育のために提携しており、今回は共催での開講となる。
家族や自分自身の病気、生別・死別・いじめ、失恋、離婚、孤立、挫折、失業など、人は生きる中で、いくつもの喪失の悲しみ(グリーフ)に直面する。しかし、喪失の悲しみの中で本当に大切なものに気付かされる。
宗教や思想などが誕生した背景にも、人間の歴史の深い悲しみや迫害があり、その中から生き抜く知恵や慈しみ、そして想像力が生み出されてきた。講座は、悲しみを理解し、見つめることを通して、生死の意味を考えることを狙いとする。
全8回で、1回目はカトリック援助修道会のシスターで、上智大学グリーフケア研究所特任所長の高木慶子氏が「喪失体験による悲嘆を考える」をテーマに講義するほか、宗教学者、医師、広島の原爆被爆者、東日本大震災の遺族による講義も行われる。
全8回の内容は以下の通り。会場は全てJR京都駅前の龍谷大学響都ホール校友会館アバンティ9階。
第1回 5月10日 「喪失体験による悲嘆を考える」
講師:高木慶子(カトリック援助修道会シスター、上智大学グリーフケア研究所特任所長)
第2回 5月17日 「親鸞と世阿弥の悲しみ」
講師:山折哲雄(宗教学者、総合研究大学院大学名誉教授)
第3回 5月24日 「広島被爆者講話」
講師:広島原爆被爆者 (対談)鍋島龍谷大学教授
第4回 6月7日 「悲嘆に寄り添う」
講師:村上典子(神戸赤十字病院心療内科部長)
第5回 6月14日 「音楽による悲嘆の癒し」
講師:山下達也(作曲家、webサービス「マスタード」運営者)
第6回 6月21日 「行方不明の夫にあてたラブレター」
講師:菅原文子(東日本大震災ご遺族)
第7回 6月28日 「『久高オデッセイ第三部 風章』(大重潤一郎監督)上映と解説「鳥の祈り」
講師:鎌田東二(宗教学者、上智大学グリーフケア研究所特任教授)
第8回 7月19日 「悲しみから生まれる力~東日本大震災後を生きる」
講師:島薗進(宗教学者、上智大学グリーフケア研究所所長、東京大学名誉教授)
申し込みは、上智大学大阪サテライトキャンパス(〒531-0072 大阪市北区豊崎3-12-8サクラファミリア2階、電話:06・6450・8741、メール:[email protected])。詳しくは、上智大学グリーフケア研究所のホームページ、または龍谷大学人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センターのホームページ。