ドイツのプロテスタント教派、ヘッセンおよびナッサウ福音主義教会とクルヘッセン・ヴァルデック福音主義教会がつくる「エキュメニカル活動センター」(ZOE、事務所=フランクフルト)は9日から11日までの3日間、同国中西部のヘッセン州にあるマルティン・ニーメラー・ハウスで、福島第一原発事故5周年を覚えて「街路で、そして裁判所で 核のリスクに対する正義と信仰」と題する国際会議を開催している。
この会議のプログラムによると、この会議は「日本や韓国、マーシャル諸島、カナダ、ヨーロッパから運動家やさまざまな反核活動の代表者たちを集めて、核の危険が持つ側面について、国際的・学際的そして宗教間の視点から議論を行う」という。同センターが国際反核法律家協会(IALANA)、福音連帯宣教会(EMS)や市民団体と協力し、世界教会協議会(WCC)の方針と提言活動との関連で行う。
「この会議で特に焦点が当てられるのが補償を求める裁判上の戦略と、原子力発電所と核兵器に対する措置。反核運動家や関心のある宗教代表者、および法律専門家を集めて、情報や考え方の交換やお互いの刺激と励まし、そして異なる世界観や宗教・職業や国々を超えたネットワーク作りを促進する」とプログラムには記されている。
「これらのグループが別々に行動することが非常に多い一方で、この会議の目的はコミュニケーションの場を提供することであり、そこから新しい相乗効果が生まれるかもしれない。核産業のグローバルなロビー活動に対しては、市民団体と宗教団体、被害者や関心のある他の人たち、科学者、医師、法律家、ジャーナリスト、そして他の多くの人たちのより良い協力を通じた国際的な対応が必要である」と、このプログラムは説明。「核エネルギーと核軍備の生産は相互に関連しており、従って、核の連鎖の諸問題は―ウランの採掘から核エネルギーの軍事および民間利用、そして核廃棄物の貯蔵に至るまで―包括的に取り組まなければならない」としている。
エキュメニカル活動センターは過去に二つの会議を同じ目的をもって主催した。2014年には、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)と一緒に「環境と人間に対する核災害の影響」をテーマに、2015年には「原子力から持続可能な形態のエネルギーへのエネルギー転換―宗教団体は気候の保護にどんな貢献ができるか?」をテーマに開催した。
9日には「グローバルな必要としての核技術の廃絶」、10日には「政治的手段としての核兵器を廃絶する」「福島における東京電力の核災害」、そして11日には「核技術の廃絶―代替策を考える」がテーマとして挙げられている。
このうち、キリスト教界からは、10日の「政治的手段としての核兵器を廃絶する」でWCCの元平和構築・軍備撤廃担当幹事で核問題に詳しいジョナサン・フレリックス氏と、チューリッヒの宗教者平和会議宗教指導者ヨーロッパ協議会議長のトーマス・ウィプフ牧師・博士が発題するほか、「福島における東京電力の核災害」では、日本カトリック正義と平和協議会のメンバーで南山大学(愛知県名古屋市)のマイケル・シーゲル教授(社会倫理)が「福島の原発事故とカトリック教会―脱原発への取り組みの軌跡」と題して発題する。また、このセッションでは、藤原精吾弁護士がノーモア・ヒバクシャ訴訟についての報告を行うという。11日の「核技術の廃絶―代替策を考える」では、カナダ合同教会のメンバーで核問題に詳しいメアリー・ルー・ハーリー博士が発題する予定だ。