世界教会協議会(WCC)は14日、同協議会平和構築・軍備撤廃担当プログラム幹事のジョナサン・フレリックス氏(米国福音ルーテル教会)の英文による報告記事「エキュメニカル代表団、国連で不健全な核体制への対案を求める」をウェブサイトに掲載した。以下がその日本語訳。
患者が診断に異議を唱えて治療を拒む年1回の検査のように、約200カ国の政府がニューヨークの国際連合で4月28日から5月9日まで会合を行い、核兵器の削減と除去の進行について評価を行った。問題の「病気」は、国際社会が長い間不健全かつ破滅的であると同意してきたもの、つまり自国の核兵器にしがみつく5大国による慢性的な主張である。
エキュメニカル代表団が出席して強力な人道的治療を唱えていた。それは幅広い国際的支持を得ているもので、5大陸にあるWCCの加盟教会が、この核拡散防止条約(NPT)2014年会合に先立って各国政府にもたらしたものである。
核大国は、この会議の議長であるペルーのローマン・モレイ大使と核兵器を持たない184カ国の多くによって行われた、地球規模の核による不快についての注意深い診断を妨害することができなかった。しかし核大国とその同盟国の代表者たちは、本当の問題が彼らにあるのではないということを非常に一生懸命に示そうとしていた。彼らが言うには、本当の問題は核兵器を持たずそれらを獲得するかもしれない国家にあるとのことだった。医療のたとえを続けると、これは伝染病にかかっている人が治療を拒みながら、他の誰もが検疫を受けなければならないと主張しているのと似ている。NPTによる解決策はこれと同じ主張によって失敗を繰り返してきた。
対案を生かす手法は会議場や何十ものサイドイベントに満ちていた。その中で主なものとしては、議長の最終勧告が表現したように、「どんな核兵器の使用によっても、またその結果による破滅的な人道に関わる結末に取り組むだけの十分な国際的な能力がないことから、全人類に訪れるであろう壊滅」に対処する必要性がある。
エキュメニカル代表団は問題のあらゆる側面について、各国――その一部は核兵器を持つ国々もあれば、持たない国々、米国の核兵器に依存している国々もあったが――の政府代表と会合を行った。これらの会合では、最近行われたWCC総会で求められた国別行動について議論が行われた。すなわち、全ての国家が大量破壊をもたらす核兵器による人道に関わる影響に断固として取り組むことである。朝鮮半島の平和のための総会の方針と教会の行動が、北東アジアの非核兵器地帯を提案している委員団によって説明された。
WCCはキリスト教と仏教・イスラム教そしてユダヤ教の指導者たちの会議に参加し、核廃絶のための多宗教による新たな取り組みについて探究した。米国長老教会の出身でペース大学教授および元WCC国際問題委員のエミリー・ウェルティ博士と、英国のメソジスト・合同改革派及びバプテストの諸教会の政策顧問であるスティーブ・ハックレスビー氏が、NPT会議でのエキュメニカル代表団であった。
太平洋諸国の核実験がこの会議で思いがけない見出しとなった。マーシャル諸島共和国は冒頭に、NPTの軍備撤廃義務の順守を怠ったとして、9つの核保有国それぞれを国際司法裁判所に提訴すると発表した。1950年代と60年代に実施された実験から出た放射能が今もなお、加盟教会を含む太平洋の島国の人たちに影響を及ぼしている。
「より小さいダビデと、より大きいゴリアテの裁判なんてほとんど不可能だ」と、ある大使は米国とロシア・中国・フランス・英国・インド・パキスタン・イスラエルと北朝鮮に対するマーシャル諸島の訴訟について語った。この小さい島国が求めている唯一の頼みの綱は、核軍備撤廃が短期間かつ特定の時間枠のうちに完遂されることだ。
「本当の問題はこういうことだ。つまり、地球規模の核軍備撤廃と不拡散体制が持つ昨今の動態によって、核廃絶の約束を果たせるだろうか?」と、カナダ教会協議会のプロジェクト・プラウシェア(鋤の刃計画)の代表者がこの会議について語った。「『はい』という見通しが乏しい中で、現状維持に対して公然と挑戦する非核保有国が増えつつある」