カトリック長崎大司教区大司教の髙見三明氏ら平和を祈る巡礼団は21日、長崎原爆を受けた浦上天主堂の「被爆マリア像」を携えてバチカンを訪問。サンピエトロ広場で行われたローマ教皇ベネディクト16世の一般謁見に参列した。
被爆マリア像がバチカンに渡るのは1985年以来25年ぶり。髙見氏が平和巡礼のためバチカンを訪れたことと像のことを教皇に説明すると、教皇は十字を切って像を祝福した。
巡礼団は今後、スペイン・ゲルニカでドイツ軍による空爆犠牲者を追悼する式典などに出席。髙見氏は、5月3日から米ニューヨークで開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて被爆マリア像と共に渡米。現地教会でのミサや平和運動団体の会合に参加するほか、国連事務総長の潘基文氏とも会談して核廃絶を訴える。
被爆マリア像は1929年、浦上天主堂の祭壇に飾られた木製のマリア像。原爆投下で倒壊した天主堂の瓦礫の中から、頭部だけになって見つかった。被爆の影響で目は空洞になり、顔には焦げ跡が残る。現在はこのマリア像を世界遺産に登録しようという運動も行われている。