長崎原爆を受けた浦上天主堂の「被爆マリア像」が今月末、5月に米国ニューヨークの国連本部で開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて初渡米することとなった。
カトリック長崎大司教区が核廃絶を訴えるため決定。同区大司教の高見三明氏らは被爆マリア像を携えて今月20日から、世界平和に向けた巡礼が行われるスペインを訪問した後、その足で30日にニューヨーク入り。5月7日の帰国まで現地教会でのミサや平和運動団体の会合に参加するほか、国連事務総長の潘基文氏やNPT再検討会議議長とも面会する予定で日程を調整しているという。
被爆マリア像は1929年、浦上天主堂の祭壇に飾られた木製のマリア像。原爆投下で倒壊した天主堂の瓦礫の中から頭部だけになって見つかった。被爆の影響で目は空洞になり、顔には焦げ跡が残る。現在はこのマリア像を世界遺産に登録しようという運動も行われている。
6日付の長崎新聞によると高見大司教は、「核兵器は無意味で愚かなこと。抑止力といいながら、住民の不安をあおっているだけだと訴えたい。大きなことができるか分からないが、被爆マリア像の力を借りてアピールできればいい」と話している。