2年に1度開かれるドイツ・プロテスタント・キルヘンタークが、同国南西部の都市シュトゥットガルトで3日から始まった。信仰や討論、音楽、礼拝、文化の祭典であるこの大会に、同国内外から何万人もの人々が集まっている。大会は7日まで5日間にわたって行われる。
キルヘンタークや世界教会協議会(WCC)の公式サイトが伝えたところによると、この催しはプロテスタントのものではドイツ最大の大会で、開催都市は毎回異なる。政治や経済、国民生活に関わる人物を含め、5日間全体の参加登録者は約10万人に上る。
「教会の日」を意味するキルヘンタークは、ナチス独裁と第二次世界大戦の後における民主的な文化を強めようと、1949年に同国のプロテスタント信徒たちによって始められた。
キルヘンタークは、原子力や気候変動、金融危機といった問題についての討論の主要な場としての役割を果たしている。このような討論に加え、礼拝や音楽、文化のための機会も提供するイベントで、今大会は2500もの個別の催しが企画されているという。
開会式では、ドイツのヨアヒム・ガウク大統領が、今日の主要な問題に取り組む動機を人々に与えるキルヘンタークの役割を強調した。ガウク大統領は、「貧困、不正義、平和の欠如、不寛容、そして環境の悪化が、世界の多くの地域で人々に影響を及ぼしている」と言い、「信仰によって生きる人たちは、このような情勢を前にして、ただの傍観者でありたいとは思わない。行動の助けとなる対応を求めているのだ」と語った。
ガウク大統領は、旧東ドイツでプロテスタントの牧師であったが、共産主義の支配に反対する1989年の抗議に積極的に加わり、その翌年、その抗議はドイツ再統一へとつながった。今大会では、ガウク大統領に加えて、アンゲラ・メルケル首相と元国連事務総長のコフィ・アナン氏が演説を行う。
今年の大会は、詩編90編12節に基づいて、「知恵ある心を得ることができますように」というテーマの下に行われている。今大会長であるアンドレアス・バルネル氏は、「お互いや天然資源、そして私たちの世界にどう対処するか」において、知恵が必要であることを強調。「私たちの社会の持続可能性は、私たちがどれだけ平和をつくり保つ能力をつくれるかにかかっている」と語った。
プロテスタントの信徒で実業界のリーダーであるバルネル氏は、北アフリカから欧州へ向かっていた多くの移民が、船の転覆などにより地中海で溺死したという報道が続いていることにとりわけ言及し、このような死は直ちに終わらせなければならないと述べた。
キルヘンタークは、ドイツ国内外で力強いエキュメニカルなつながりを持ち、今回は5000人を超える海外からの来賓が参加している。その中には、韓国からの高位な代表者や、インドネシアやナイジェリアの大規模なグループが含まれている。
6日には、WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事が、2013年のWCC総会後に始められた「正義と平和の巡礼」に関連する催しに参加する。
また、同じく6日には、福島県から会津放射能情報センター代表で日本基督教団若松栄町教会の信徒である片岡輝美さんが、演説を行うという。同センターを支援しているドイツの福音連帯宣教会(EMS)が2日、公式サイトで伝えた。同サイトには、EMSとキルヘンタークを訪れている片岡さんと福島第一原発事故に関する記事が、「それはまだ終わっていない」と題する見出し付きで、ドイツ語と英語で掲載されている。