【ベルリン=ENI・CJC】ドイツの政治、スポーツ、文化、演芸各方面の有力者23人が、ベルリンで9月5日、カトリック教会とプロテスタント諸教会の一致を求める緊急呼び掛けを発表した。
「今日、教会分裂は、欲せられたものでもなければ政治的に正当化されるものでもない。神学的要素、制度的な慣習、教会的また文化的伝統が諸教会の間の分裂を維持しているのだろうか。わたしたちはそうは思わない」と声明「現下のエキュメニズム=一つの神、一つの信仰、一つの教会」は指摘する。
声明は諸教会の間の500年に及ぶ分裂に終止符を打つことを呼び掛けており、連邦議会のノルベルト・ラマート議長、トーマス・デメジエール国防相、野党社会民主党のフランク=ヴァルター・シュタインマイアー党首らが署名した。
テレビ司会者ギュンター・ヤオホ、独オリンピック連盟のトーマス・バッハ会長、作家アーノルド・シュタットラーほか芸術家や学者も署名している。
声明は、50年前の10月に開かれた第二バチカン公会議と、2017年に500周年を迎える「宗教改革」とが大きな衝撃を持って来たが、そのことを教派を超えて認識されるべきだ、としている。今回の呼び掛けは、諸教会の一般信徒が、これらの記念行事を変革の機会として捉えるために積極的な役割を果たすよう求めている。
「わたしたちは、教会一致という課題を、教会指導者たちが、聖体(聖餐)と教会政治について一つの理解に到達するまで、そのままにして置くことは出来ないし、そうすべきでもない。そしてわたしたちは、諸教会がただ相互に認め合うだけでは満足出来ない」と声明は指摘している。
教派間の聖体(聖餐)問題はドイツでは大きな関心事になっている。キリスト者約5000万はほぼカトリックとプロテスタントに二分されており、いまでは混宗婚も多い。双方の信徒はこれまでも繰り返し、カトリックの聖体規定を緩和し、一緒に聖体(聖餐)に預かれるよう求めて来た。
今回の呼び掛けに対し、ドイツ・カトリック司教協議会議長のロベルト・ツォリッチ大司教は、問題が「解決困難な点であり、信仰における共通理解が不足していることを浮き彫りした」と指摘している。
司教協議会もプロテスタントの福音教会(EKD)も、いくつかの留保条件付きではあるが、声明を歓迎してはいる。
「『現下のエキュメニズム』呼び掛けの考えを前向きに受け止める。それは、エキュメニズムの将来を、教会指導者の応答としてだけでなく、一致強化とが全てのキリスト者の責任であることを憶えることでもあるとするための努力なのだ。福音的、そしてカトリックのキリスト者が、切り離されているよりも結び付けられていることが分かることは感謝だ」と福音教会のティエス・グンドラッハ副会長は声明で指摘した。
しかし重要なことは、各教派をそれ自身の基本的な神学理解の上に憶えることだ、と言う。
「16世紀の始め、宗教改革者は、教会について、今日でもカトリックの兄弟姉妹の中心的信仰とは相容れない見解を発展させた。とにかく最低線は、出来るだけの速さで、エキュメニカルな問題に取り組むことが重要だ、ということ、しかしそれには出来る限りの忍耐も必要だ」と結論で述べている。