ロシア正教会の最高指導者であるモスクワおよび全ロシアのキリル総主教は17日、南極大陸のワーテルロー島(英語名:キングジョージ島)にあるベリングスハウゼン基地を初めて訪問し、同基地にある南極唯一の常設の聖堂である至聖三者聖堂で、聖水式による感謝の祭儀を執り行うとともに、永眠した南極探検者たちのための課を行った。ロシア正教会が18日に公式サイトで伝えた。この奉神礼の後、同総主教は参祷者らに説教を行い、祈りのための「特別な言葉」を語り掛けた。
南米のパラグアイを訪問した後に同大陸の最南端にあるチリの都市、プンタ・アレナスを出発して南極に到着。同総主教にとって初めてとなったこの南極訪問は、ロシア南極探検隊長のV・ルキンからの招待を受けて実現した。
ロシア正教会によると、ルキン氏からの招待状には、次のように記されていたという。
「今日ベリングスハウゼン基地で働いている南極探検者にとって、総主教庁を代表している、ロシア正教会至聖三者聖堂は、地球のこの辺鄙(へんぴ)な地域にある、私たちの母国の小さな島として、大きな重要性を持つものです」
「私たちは、(キリル総主教)座下がロシアの内外にいる信者たちの牧会的な配慮にどれだけ多くの時間を費やしておられるかを存じております。座下のお祈りと牧会の言葉は、地球で最も辺鄙なこの地域にも及んでおり、そこではロシア正教会の信者たちがそれらを熱心に待ち望んでおります。座下がラテンアメリカを訪問されるというご意向を知り、私たちは、もしできますれば、座下の同胞が1968年から監視活動をしている、私たちのベリングスハウゼン基地を座下が訪問されますよう、心からお招きいたします。私たちにとってそれは南極におけるロシアのさまざまな発見が光栄ある50周年を迎えるのを前にして、とりわけ重要であります。私たちは、南極の地で働く全てのロシア人南極探検者たちのために、座下の首座主教としてのお祈りをお願いします」
ベリングスハウゼン基地への到着後、総主教は2004年に建てられた、南極で唯一常設の正教会である至聖三者聖堂で、聖水式による感謝の祭儀を執り行った。この感謝の祭儀の間、この基地で働く全ての人たちの健康のために祈りがささげられた。
その後、キリル総主教は「わが母国の光栄のためにこの場所で死にここで働いた、今は亡き神の僕(しもべ)たち」の魂の平安のための参祷者たちの祈りを導いた。南極探検で64人のロシア人の探検家たちが永眠した。
感謝の祭儀と永眠した南極探検者たちのための課の後、キリル総主教は首座主教としての説教を行った。キリル総主教はこの説教の結びに、参祷者たちのための特別な言葉として、次のように述べた。
「神があなた方の働きにおいてあなた方を助けてくださるように。決してくじけることのないように、そして自らが地球の頂上にいることを忘れないように。私が今日聖水式を行ったとき、私たちの下にある地球全体のことを私は思い、神の創られた世界のために祈りました。ですから、あなた方も自らの愛する人たちのために、ここで働く全ての人たちのために、あなたの国のために、あなたの国民のために、そして全世界のために祈ってください」
南極と至聖三者聖堂への初訪問を記念して、キリル総主教は亜使徒大公聖ウラジーミルのイコンと刺しゅう入りの布をこの教区に贈呈した。
それから総主教はこの基地を見学し、探検隊員やたくさんの研究者らと会談。同基地の責任者であるV・チェベルダク氏が南極探検者たちを代表してキリル総主教にあいさつした。同総主教は亜使徒大公聖ウラジーミルの小さなイコンを祝福してそれを自らの説教集と共に彼ら一人一人に贈呈した。
一方、ロシアの英語ニュース・チャンネル「RT」など複数のメディアは19日、キリル総主教が南極のペンギンたちの間を散歩する様子をユーチューブの動画で伝えた。