暑い夏。熱中症で倒れないように教会がもし涼しかったら・・・。そんなことを考えている方には、こんな季節外れの教会の話題はいかが?
オランダにあるアイントホーフェン工科大学が5月15日にウェブサイトで発表したところによると、同大の学生チームが今年の冬に、スペインのバルセロナにあるサグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会)の4分の1の模型を、木くず入りの氷を使って、フィンランド南東部のユッカという地域に3週間で建造するという。高さは40メートルで、来年1月17日に公開予定だという。
一方、アングリカン・ニュース・サービスが2月6日に報じたところによると、カナダのオンタリオ州ビーバートンにある聖公会の聖パウロ教会は、ビーバートン・ハーバーにある氷の上にチャペルを開設したという。
「それは人々が出かける前にお祈りをして帰ってきた時に感謝をささげることができる場所です」と、同教会のキャノン・テッド・マッコラム牧師は語った。
また、ドイツの主要誌「シュピーゲル」が2011年12月29日に報じたところによると、ドイツ南部のバヴァリアの森にあるミッテルフィルミアンスロイト村が、雪と氷でできた礼拝の家を開設した。これは、その100年前に同国で造られたこれと似たような教会を記念したものだという。ロイター通信によると、この教会はカトリック教会で、春の始めに観光名所になりそうだと同通信は報じていた。
世界で最も寒い南極には、ロス島のマクマード基地にある非教派系の教会「チャペル・オブ・ザ・スノウズ」がある。日本語に訳すと「雪の礼拝堂(聖堂)」(雪でできているわけではない)。また、南極には世界最南端のチャペルがアルゼンチンのヘネラル・ベルグラノII基地にあるほか、ロシア正教会のトリニティ教会、ブルガリア正教会の聖イヴァン・リルスキ・チャペル、カトリック教会の聖マリア・レイナ・デ・ラ・パス教会、サンティスマ・ヴィルゲン・デ・ルジャン・チャペルとアシジの聖フランシスコ・チャペルがあると言われている。
ちなみに、世界最北端の教会は、ノルウェーのスバールバル諸島ヤンマイエン島最大の町ロングイェールビーンにあるスヴァールバル教会で、この町の緯度は北緯78・2度。その公式ウェブサイトを見ると、パンとぶどう酒を入れる器の右隣に氷の塊が置かれた写真がまず目に入る。スバールバル総督府によると、冬の最低気温はマイナス30度だという。
その他、スウェーデンのラップランドにあるアイスホテル教会や北海道勇払郡の星野リゾート・トマムに冬の1カ月だけ作られる「氷の教会」は、キリスト教会というよりはむしろいわゆるウェディングチャペルだが、実際にここで結婚式を挙げる人たちは少なくないようである。
なお、ギネス世界記録に載っている世界で最も寒い村は、ロシアのサハ共和国にあるオイミャコン。1926年にマイナス71・2度を記録したことがあるという。教会があるかどうかよく分からないが、そこに住み続けている人たちがいることは確かなようだ。
「多くの人々の愛が冷える」(マタイ24:12)と聖書にはある。しかし、これらの寒い地域や教会にあえて集う人たちの信仰や想いは、熱いようである。