【CJC=東京】教皇フランシスコとロシア正教会のキリル総主教は12日午後、キューバの首都ハバナのホセ・マルティ国際空港で歴史的な会談を行い、東西キリスト教会の再統一と、中東で暴力にさらされているキリスト教徒の保護を急ぐ必要性を呼び掛けた。
東西のキリスト教会トップが会談するのは1054年に東方教会と西方教会が互いに相手を破門したいわゆる「教会大分裂」以来。モスクワ総主教とローマ教皇の会談は20年来の懸案だった。準備は秘密裡に2年がかりで行われていた。会談は、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長の仲介で実現した。
会談では、白い帽子と聖衣に身を包んだ教皇と、白い頭飾りと黒の聖衣に身を包んだ総主教が、抱擁して互いにキスを送った後に笑顔で着席した。
教皇は、「私たちは同じ洗礼を受けた兄弟だ」と述べ、総主教も「開かれた心で話し合った」と肯定的に応じた。
会談後、教皇と総主教は「乗り越えるべき多くの障害が残っていることは認識しているが、今回の会談が、神の望まれる再統一に寄与することを願う」という共同宣言に署名した。
教皇と総主教は、中東や北アフリカなどの地でキリスト教徒が過激主義者などの迫害に苦しめられる現実に憂慮を示し、さらなる犠牲を阻止するよう国際社会に呼び掛けた。また、経済的不平等の中で苦しむ貧しい人々、新しい生活の基盤を求めてさすらう難民とも連帯すると述べた。
双方は中東で過激派組織「イスラム国」(IS)に迫害されているキリスト教徒の保護でも共同歩調を打ち出した。
バチカン側は当初、欧州での会談を提案していたが、ロシアとも友好関係にあるカトリック国キューバが会談場所に選ばれた。キューバと米国の雪解けを教皇が仲介したことも考慮された。