日本カトリック司教協議会列聖推進委員会(東京都江東区)は10日、1月に列福が決まったユスト高山右近(1552~1615年)の列聖運動を象徴するシンボルマークを制定したと発表した。十字架に高山家の家紋である七曜星を重ね、背後に三位一体などを示す三つの輪が配したマークだ(現在、商標登録出願中)。同委員会はこのマークの制定を機に、これから開催される教皇フランシスコによる右近の列福式典に向けて、日本の教会にますます列聖運動が浸透し、高まりを見せることを期待している。
制定されたマークは、右近の列聖運動を促進するためのシンボルマークとして集められた、一般公募作品9点の中から選ばれたもの。師イエズス修道女会会員北爪悦子シスターによる作品だ。専門家と共に厳正に審査・選定を行った同委員会による解説は以下の通り。
■ 七曜星
家紋の七曜星は、右近が生まれ育った家を指し、彼の信仰を育んだ基礎を表す。七星は、七つの秘蹟(洗礼、聖体、ゆるし、堅信、婚姻、叙階、病者の塗油)とも重なり、また、右近を導いた聖霊の七つの賜物(上智、聡明、賢慮、勇気、知識、孝愛、主への畏敬)のシンボルでもある。十字架から発して七曜星を包む緑は、永遠の命への希望を意味する。
■ 十字架
七曜星の背後を貫く十字架は、人間のために徹底的に仕えたキリストのしるしであり、キリストに倣って神と人に仕えた右近の人生のシンボル。「ユスト」(義の人)という洗礼名の通りに、右近は自分を人のために明け渡す生涯を貫いた。十字架の縦木は、右近が祈りによって深めた「神との交わり」を表し、横木は、どのような境遇にあっても神を第一とし、家族・共同体・貧しい人々に仕えた、右近の「人々との交わり」を表す。
■ 三つの輪
七曜星と十字架の背後で輝く三つの輪は、三位一体の神と人々との関わりの中で、揺るがない信仰へと導かれ広がっていった右近の生涯を表す。輪の内側からの水色と濃い青は右近の聖性の深まりを、外側の朱色は右近の深い祈りと命をささげるまでのキリストへの燃える愛を表す。
同委員会は、右近の列聖運動を通して、全世界の人々に彼の信仰の喜びを伝え、キリスト者一人一人が混迷する世界にあって、右近のように十字架のキリストに希望をおいて生きることを目指しているという。このマークは今後、列聖運動促進に関連する媒体、物品などに広く使用される。使用に際しては、同委員会への使用許諾申請が必要となる。詳細・問い合わせは、同委員会事務局(電話:03・5632・4445、メール:[email protected])まで。