世界遺産の「熊野古道」がある和歌山県田辺市は、同じく世界遺産の「サンティアゴ巡礼道」があるスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ市と2014年5月に「観光交流協定」を締結し、昨年2月1日から初の共同事業となる「共通巡礼手帳」の発行を行っている。その1周年を記念し、1日、両方の道を歩いた達成者に対して「共通巡礼達成証明書」の交付を開始した。
熊野三山へと続く熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」と、聖ヤコブの遺骸があるサンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く「サンティアゴ巡礼の道」は、共にユネスコの世界遺産に登録されている。世界で2例しかない、数百キロにも及ぶ巡礼道というつながりを受けて、田辺市とサンティアゴ・デ・コンポステーラ市は、昨年5月13日、持続可能な観光地を目指し、巡礼文化を世界に向けて発信していくことを大きな柱とした観光交流協定を締結した。その協定に基づき、二つの巡礼道を訪れる人を増加させるため、共通巡礼手帳の発行、共通巡礼達成者への記念品の贈呈という、両市の初の共同事業への取り組みを始めた。
熊野古道とサンティアゴ巡礼道には、各所にスタンプが設置されており、巡礼者は押印帳や巡礼手帳にスタンプを集めながら歩いた道のりを記録していく。共通巡礼手帳は、片面が熊野古道のスタンプ台紙、もう片面がサンティアゴ巡礼道のスタンプ台紙となっており、熊野古道では指定のルートを歩き熊野本宮大社の札所の横にあるスタンプを押し、サンティアゴ巡礼道ではサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の近くにある巡礼事務所で巡礼証明のスタンプを押されたのち、田辺市観光センター、世界遺産熊野本宮館、サンティアゴ市観光局にて、二つの道の巡礼者登録をすると、二つの巡礼道を達成したと認定される。共通巡礼手帳が発行されたこの1年で、熊野古道とサンティアゴ巡礼道の両方の巡礼を達成した登録者は23カ国150人(2016年1月13日現在)。達成第1号は米国人男性で、一番多いのは日本人で36人だという。
この手帳は、田辺市観光センター、熊野古道館、世界遺産熊野本宮館、サンティアゴ市観光局などで無料で配布されている。今回新しく交付が始まった共通巡礼達成証明書は、田辺市観光センター、熊野本宮館で二つの道の巡礼者として登録すると交付される。証明書には同市本宮町で作成された手すき和紙「音無紙」が使用され、二つの巡礼道のシンボルである八咫烏(やたがらす)とホタテ貝、そして、太陽のイメージであるオレンジ色があしらわれている。
共通巡礼手帳、共通巡礼達成証明書に関する詳細・問い合わせは、田辺市観光振興課(電話:0739・26・9929)まで。